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第322話 事情説明
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ラティストの魔法で、精霊が綺麗に消えてしまったあとは。
商業区内ということもあって、人がどんどん集まろうとしてきたために、場所を移すことにして……生産ギルドへラティストとジェイドが僕らを転送してくれました。
レイアさんも一緒がいいからと、ジェイドが一緒に連れて来てくれたんだけど、レイアさんはまだ口がぽっかーんとしてしまっている。多分、何が起きたか飲み込めないのと情報量が多過ぎたんだろうね?
「……大丈夫ですか?」
とりあえず、僕が声をかけてみたけれど……レイアさんはほとんどぼんやりに近い感じで、首をゆっくり左右に振った。まだうまく状況把握出来ていない感じだ。
「あ~……レイア。俺はロイズだが、わかるか?」
僕の次にロイズさんが声をかけたら、今度は『え!』とレイアさんが思いっきり声を上げたのだ。
「ぎ、ギルマス!? え、わ……えぇえ?」
「言いたいことはわかるが、俺も呪いが解けたんだよ。こっちのケントとかのおかげでな?」
「……ケント、さん?」
「はじめまして。スバルのパン屋のケントと言います」
「……エヴァンス先生の、お弟子……さん?」
「そうですよー」
どういう関係かきちんと伝えると、認識してもらえたのか彼女は僕とお師匠さんを交互に見ていた。そして、もう一度ロイズさんを見ると、ゆっくり口を開けた。
「……あ、の。さっき……のは?」
どうやら、本当にあの精霊が自分に何をされたのか知らなかったみたい。哀れむとか何もなく、ただただ知らなかっただけ。
もう消えてしまったあの精霊にとっては気の毒だろうけど……これが現実なんだ。
「あれは……お前に呪いをかけていた、我が部下だったものだ」
ラティストが前に出た。自分がどういう存在なのか、レイアさんには隠さずに言うみたい。
レイアさんは、ラティストが見えているのかお口をまたぽかんと開けたのだ。
「……の、ろい?」
「ああ。お前が生まれる以前。特異な魂の持ち主であることから、あれが目をつけ……己のモノにしようとしていた。その望みは叶わなかったが」
「……あ、なたは?」
「ラティスト=ルーア=ガージェン。創始の大精霊が一角。闇と炎を司るものだ」
「そ、創始!?」
「今は、そこのケントの契約精霊に過ぎん。そこまでかしこむ必要はない」
「は……はい」
余計に情報が増えちゃっただろうけど、ラティストがいいよって言ってくれているからか、少しずつ落ち着いてくれたようだ。
だけど、自分があの精霊にとってどんな扱いを受けていたのかはまだ実感がないみたい。惚けていた表情を落ち着けてから、今度はお師匠さんを見た。
「……事実だ。レイア。そして、私もこちらのジェイドと契約を結んでいる」
「改めて、ジェイド=イシュト=ガージェンだよー」
「……こう見えて、そこのラティストの弟で創始の大精霊だ」
「うんうん」
お師匠さんがジェイドのことを紹介すると……今度こそ、頭のキャパがオーバーしちゃったのか。コロンと転がって、レイアさんは目を回してしまったようです。
慌てて僕らは駆け寄ったけれど、先に近づいたお師匠さんがゆっくりと抱き上げて、ロイズさんに仮眠室で寝かせていいか聞いたのだ。
「……まだ呪いが完全に解けていないようだから、出来上がったポーションを試してみる」
「おう。ゆっくりしてけ」
どうやら、あんぱんを参考にしたポーションは出来上がっていたみたいだ。どんなのか気になるけど……きっと、お師匠さんの告白もあるだろうから、お邪魔虫はしちゃいけない。
その筆頭となりかけた、ルゥさんを引き止めるのにエリーちゃんが頑張っていたけどね……。
商業区内ということもあって、人がどんどん集まろうとしてきたために、場所を移すことにして……生産ギルドへラティストとジェイドが僕らを転送してくれました。
レイアさんも一緒がいいからと、ジェイドが一緒に連れて来てくれたんだけど、レイアさんはまだ口がぽっかーんとしてしまっている。多分、何が起きたか飲み込めないのと情報量が多過ぎたんだろうね?
「……大丈夫ですか?」
とりあえず、僕が声をかけてみたけれど……レイアさんはほとんどぼんやりに近い感じで、首をゆっくり左右に振った。まだうまく状況把握出来ていない感じだ。
「あ~……レイア。俺はロイズだが、わかるか?」
僕の次にロイズさんが声をかけたら、今度は『え!』とレイアさんが思いっきり声を上げたのだ。
「ぎ、ギルマス!? え、わ……えぇえ?」
「言いたいことはわかるが、俺も呪いが解けたんだよ。こっちのケントとかのおかげでな?」
「……ケント、さん?」
「はじめまして。スバルのパン屋のケントと言います」
「……エヴァンス先生の、お弟子……さん?」
「そうですよー」
どういう関係かきちんと伝えると、認識してもらえたのか彼女は僕とお師匠さんを交互に見ていた。そして、もう一度ロイズさんを見ると、ゆっくり口を開けた。
「……あ、の。さっき……のは?」
どうやら、本当にあの精霊が自分に何をされたのか知らなかったみたい。哀れむとか何もなく、ただただ知らなかっただけ。
もう消えてしまったあの精霊にとっては気の毒だろうけど……これが現実なんだ。
「あれは……お前に呪いをかけていた、我が部下だったものだ」
ラティストが前に出た。自分がどういう存在なのか、レイアさんには隠さずに言うみたい。
レイアさんは、ラティストが見えているのかお口をまたぽかんと開けたのだ。
「……の、ろい?」
「ああ。お前が生まれる以前。特異な魂の持ち主であることから、あれが目をつけ……己のモノにしようとしていた。その望みは叶わなかったが」
「……あ、なたは?」
「ラティスト=ルーア=ガージェン。創始の大精霊が一角。闇と炎を司るものだ」
「そ、創始!?」
「今は、そこのケントの契約精霊に過ぎん。そこまでかしこむ必要はない」
「は……はい」
余計に情報が増えちゃっただろうけど、ラティストがいいよって言ってくれているからか、少しずつ落ち着いてくれたようだ。
だけど、自分があの精霊にとってどんな扱いを受けていたのかはまだ実感がないみたい。惚けていた表情を落ち着けてから、今度はお師匠さんを見た。
「……事実だ。レイア。そして、私もこちらのジェイドと契約を結んでいる」
「改めて、ジェイド=イシュト=ガージェンだよー」
「……こう見えて、そこのラティストの弟で創始の大精霊だ」
「うんうん」
お師匠さんがジェイドのことを紹介すると……今度こそ、頭のキャパがオーバーしちゃったのか。コロンと転がって、レイアさんは目を回してしまったようです。
慌てて僕らは駆け寄ったけれど、先に近づいたお師匠さんがゆっくりと抱き上げて、ロイズさんに仮眠室で寝かせていいか聞いたのだ。
「……まだ呪いが完全に解けていないようだから、出来上がったポーションを試してみる」
「おう。ゆっくりしてけ」
どうやら、あんぱんを参考にしたポーションは出来上がっていたみたいだ。どんなのか気になるけど……きっと、お師匠さんの告白もあるだろうから、お邪魔虫はしちゃいけない。
その筆頭となりかけた、ルゥさんを引き止めるのにエリーちゃんが頑張っていたけどね……。
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