スライムからパンを作ろう！〜そのパンは全てポーションだけど、絶品！！〜

第307話 悩むお年頃

　無責任。

　無責任だったかもしれない。

　僕の単純な思いつきで……エリーちゃんを振り回してしまっていた。

　意識……させ過ぎているかもしれない。

　外野のトラディスさんとかがああ言うんだもん。

　エリーちゃん自身が気づいてたっておかしくない。

　もしくは……シェリーさんとなんか計画しているかもしれないや。そっちのが可能性は高い。

　けど……僕はどうしたらいい？

　エリーちゃんのことは大好きだ。

　女の子として、恋人として。

　けど……それ以上に？

　お嫁さんにしていいくらい？

　そこに考えが行き着くと……ぼんって顔が赤くなるのがわかった。


「～～～～！？」


　今僕は、スバルの営業が終わって……部屋で帳簿をつけていた。

　ラティストとカウルはオープンキッチンでご飯の支度中だ。

　すっかり、料理が出来るようになった二人のおかげで……こうやって、雑務などが出来る。

　そんな時間に、ちょっと考えちゃったんだよね？

　エリーちゃんのことを……本当はどうしたいかと思ったりとか。


「……大好きだけど」


　だって、まだハグとか手を繋ぐはしたけど……キスとかそれ以上のこともしてないんだよ！？

　僕未経験なんだよ！？

　なのに……いきなり結婚？

　異世界基準はよく知らないんだけど……でも、それでも、エリーちゃんに指輪を渡したってことは、異世界でも『そう言うこと』なんだ。

　だったら、ケジメはつけなきゃいけない。


「うーん。ちゃんとしたプロポーズ……か」


　先に指輪渡しちゃったけど……改めて？

　ベタだと、いい雰囲気のお店で……しっかり言うとか？

　この世界のプロポーズのやり方とか知らないけど……エディに連絡したら、またデバガメされそうだからなあ？

　でも、マブダチが連絡寄越さないことには……駄々をこねるだろうし？

　他に相談……だと、ロイズさんかなあ？

　お師匠さんは、最近忙しいのか……ジェイドがパンのお遣い来る以外情報を知らない。

　どうしたんだろう？


「ケン兄さんー、お師匠はんが来たでやんすよー？」


　ちょっと考えてたら、カウルがノックと一緒にお客さんのことを伝えてくれた。

　なんてナイスタイミングに来てくれるんだ、お師匠さん！！

　すぐに行くと返事をしてから、カウルを抱っこして裏口に行ったんだけど。


「お、お師匠さん？」


　そこには、初対面の時並みにぼろぼろ浮浪者手前まで……身なりが荒れたお師匠さんが立っていたんだ！？

　どうしたか聞こうとすると、お師匠さんが僕の肩に両手を置いて。


「力を貸してくれ！！　ケント！！」


　って、メガネの向こうに見えた瞳の色は、とても真剣なものでした。