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第300話『おやき風のパン』
しおりを挟む「ケント、これ……パン?」
エリーちゃんがおかずとかをひと通り食べてくれてから、おやきの方が気になったのか一個持っていた。
おやきって言っても、一般的なおまんじゅうぽいのじゃなくて薄焼きのパンみたいなんだよね?
町のパン屋さんだとそう言う商品が多かったから。
薄焼きの大きなおやきパンの中身は、甘いものからしょっぱいものまで用意したけど。エリーちゃんが持っているのは……うっすら見える具材から察するに肉まん風かな?
「そう。新商品に考えてる、『おやき』ってパンだよ」
「……オヤキ?」
「僕のいた世界だと……牛乳パンの発祥した地域じゃ一般的なパンとは違うおやつなんだ。僕は、パンにしてみたんだけど」
「……これもポーションパンに?」
「……なっちゃったんだよね」
イケメン神様の付与設定は、ゆるくなっても相変わらずな部分はあるけど。
「へー? いい匂い。肉使ってるの?」
「そう。今度、肉まんって言うの作ろうと思ってるんだ。その中身に似せたのをね?」
「ニクマン?」
「うーんと。パンともちょっと違うんだよね? 異国の主食って感じのもの」
「これじゃなくて?」
「もっと柔らかくてふんわりしてて……近いのは、蒸しパンかな?」
「あれね!」
卵蒸しパンはエリーちゃんにも食べてもらったことがあるから、覚えてくれてたみたい。
あれもあれで美味しいんだよね。某メーカーのチーズ蒸しパンはまだまだ研究中だけど。
「あれみたいに、お菓子じゃないから……食べてみて?」
「じゃあ……」
僕が勧めるとすぐにひと口かじってくれた。
中身は、やっぱり当たってて肉まん風の餡が見えたよ。もぐもぐしてくれると……どんどん表情が輝いていったんだ!
「どう?」
答えはわかっているけど、こんな表情を見たら聞かずにはいられないや。
「美味しい!! パンはもちっとしてるし、中身が特に美味しいわ!! 美味しいんだけど、食べたことない味わい!!」
「味のベースはコカトリスの骨を使ったお出汁なんだよ」
「……骨を使う?」
「スープの味付けに使う、コンソメみたいになるんだ」
「……へー? そう言うのも異世界の知識?」
「そうだね? ソースのベースに使うから……こっちでもなくはないだろうけど」
「そうね。あたしは料理人じゃないから、知らなかっただけかも」
で、美味しい美味しいって何度も言いながら……エリーちゃんは肉まん風おやきをすぐに完食してくれた。
これだったら、次に甘いものをとラティスト経由でたっぷり使える小豆のおやきパンを勧めたよ。これは試作だから遠慮なく小豆を使ったんだけどね?
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