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第277話 東亜人の味覚

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 お店のちょっと奥、ジェイドがきちんと片付けたらしいリビングダイニングで食べることになり。

 かのこ食パンとルイボス茶を用意してから……改めて、お師匠さんとマーベラスさんに勧めました。


「ちょっと甘いパンなんです。一気に食べるとむせるので、ゆっくり召し上がってください」

「……では、いただく」

「ほな」


 僕の注意をちゃんと聞いてか、二人とも食パンを割って食べようとしてくれたけど。

 お師匠さんはすぐにかぶりついたが、マーベラスさんは目を丸くしていた。


「美味い!!」

「……豆入れたん?」

「あんこではないが……ほのかな甘みがちょうどいい!!」

「……ヴィー。あんこってなんや?」

「特殊な豆の甘煮ですな」

「…………豆を甘く煮るぅ!?」


 東亜人って人でも……豆を甘く煮る方法は知らないみたい?

 だとしたら、お菓子もリオーネとかと同じものかな?


「美味しいですよ? 是非ひとつ」

「……せやな。ポーションパンが食べれる思えば」


 覚悟が決まったのか、すぐに口に入れてくれました。そして……シュバっと効能発揮の光が!!


「……どうでしょう?」


 光が落ち着くと、マーベラスさんがもぐもぐ咀嚼しているのは見えたけど……お口に合ったかな?


「強烈に甘くはないが……おもろい味やな!? 豆はちゃんと甘いし、煮た時の食感そのものやけど……塩気のあるよりも食べやすいわ!」


 とりあえず、お口には合ったみたい。もぐもぐと食べてくれています。

 そこにルイボスをひと口飲むと、お師匠さんもだけどマーベラスさんも嬉しそうな表情に!


「逆に甘い飲み物じゃない方がいい!」

「合うわ~! この風味が引き立ててくれるようやわ!! しっかし、長距離移動してた俺ん体力……すっかり回復してもろたわ。こりゃ本物やわ!」


 で、僕にナイスっと親指を立ててくれました。気に入ったみたい?


「ありがとうございます。ロイズさんには許可をいただけたので……お師匠さんさえ良ければ、これは店頭販売しようと思っているんですが」

「……よくロイズが言ったな?」

「あんこの豆を変えるように言っていただいたからだと」

「なあなあ! その『あんこ』ってなんなん? 聞いたことないなあ?」


 ちょっと忘れかけてた。事情を知らない、マーベラスさんがこの場にいることを。

 だけど……別に小豆出さなきゃいいかな?


「今回召し上がっていただいた豆を、もっとたくさん使って甘く煮て……つぶしたペーストのようなものです。それをパンに入れるんですよ」


 僕が説明すると……マーベラスさんはまた豪快にひっくり返ってしまいました。
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