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第273話 ギルマスの判断

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「ほぉ? アズキじゃねぇ、新しいパンか?」


 ギルドに行って、ロイズさんにかのこ食パンを渡したら……鑑定眼鏡ですぐに効能を見てもらったんだけど。

 まあ、苦笑いが出ちゃいました。


「味はいいんですけど……効能が見ていただいた通りなので」

「そこはまあ……仕方ねぇ。んで、これに合う茶がルイボスか?」

「エリーちゃんに提案してもらったんです」


 茶葉はロイズさんも持っていたらしく、すぐに淹れて……食パンをちょっと食べてからお茶を。

 すぐにシュバっと光ったから……怪我じゃなくて、疲労回復の部分が効いたのかな? ギルドマスターさんのお仕事は忙しそうだからね?


「……うん。アズキの時の強烈な甘みはないが。パンと合わせるとちょうど良い甘さだな? 茶とも合う」

「……オークションの方がいいです?」

「あー……前ならそうしたが」

「え?」


 今は、販売してもいいのだろうか?

 僕の返事に、ロイズさんは頭をわしゃわしゃしてくれた。


「王室御用達になってんだ。少しなら、こう言うのもいいだろ?」

「……エディのお陰ですか?」

「だな。こっちはこっちでまた対応すっから……とりあえず、このパンから少しずつ店頭販売は考えていこうぜ」

「はい」


 嬉しいなあ。

 あんぱんは無理だけど……まずは一個関門突破だ!!

 甘納豆はこれで決まったから……次は、別のあんこ製造だ!!

 白あんとかうぐいすあんとか!

 それを皆の前で発表すると、ロイズさんとエリーちゃんは目を丸くしちゃった。


「……あんこって、あれ以外にも出来るのか?」

「言ってたけど……ケントほんとに作れるの?」

「出来ます!!」


 あんこがうまくいって、お師匠さん達にもきちんと試食してもらおう!

 けど、今回のかのこ食パンもちゃんと食べてもらおう。お店の方に、エリーちゃんやラティスト達と行くことにして。

 随分久しぶりに来た、お師匠さんのお店には……表側の看板に、うちのパン屋と同じエディから贈られた紋章がちゃんと飾ってあった。

 前は装飾だと思ってたから……今だと違うとわかる。

 食いしん坊さんだけど……お師匠さんは、すごい錬金術師なんだって!


「あれ? いらっしゃい」


 呼び鈴を鳴らす前に……扉をすり抜けて、ジェイドが出てきた!?

 めちゃくちゃびっくりしたあ!?


「じぇ、ジェイド……こんにちは」

「うん。ヴィンクス呼べばいい?」

「……中入ってもいい?」

「あー、うん。今ちょっと面倒だけど」

「「「「ん?」」」」


 ドアを開けて、中に入らせてもらったんだけど。


「じゃかしぃ!? おまさんの弟子見せてくれって言ってるだけやろ!?」

「出来かねます!! 彼も彼で忙しいんです!!」


 お師匠さんと……多分お客さんが言い合っている??

 派手な格好だし、言葉荒いけど……大丈夫かなあ?
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