スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第265話 パーティーとの団欒

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 バレたのも仕方がない。

 ケントがエリシオンに召還された時点で、覚悟はしてた。

 だが……ケントはケントだった。

 肝が据わっていると言うか……寛容的と言うか。

 俺が、王族であったと言うのに……全然態度を変えない。

 今まで通り……ってくらいに、ほとんど変えなかった。

 エリシオンに会っても……受け入れたのか、俺にも普通だ。

 逆に、新作のパンを……俺に渡してくれたんだ。なんて、慈悲深いと思える男なんだよ。女だったら惚れてたが、あいつはエリザベスのだしなあ?


「おーい。帰ったぞー」


 とりあえず……ケントからもらった『アンパン』とやらを拠点の宿屋に持って行くと。匂いに敏感である、一応・・パーティーのリーダーであるジェフは飛びつく勢いで……俺に近づいてきた。


「なんだなんだ!? めっちゃ良い匂いすんな!?」

「……落ち着け。ケントがちょうど帰ってたから、くれたんだよ」

「え? ケントさん達が?」

「戻ってきたんですか?」

「ちょうどな」


 部屋の真ん中で、袋の中身を広げてみれば。

 包みがいくつか。白い紙に……俺の呪いを解呪してくれたライスバーガーよりは小ぶりなパンが、コロコロと包まれていたんだ。


「なんだこれ?」

「ケントさんのパンだから、きっと美味しいものですよ」

「だよね!」


 ケントのパンへの信頼性は、うちのメンバーも相当だかんな?

 特に、シェリーはもう少しで先天性の体質が治るからなあ?

 ジェフとも良い仲だし……ランク試験も無事に合格出来たし……次は結婚か?

 まあ……子ども出来るまでは、今の活動を続けてくれるとは思うがな。シェリーが居なきゃ、攻略しにくいクエストも出てきてる。

 出来れば……活動休止にはならんでほしい。

 そう思うのは、俺のわがままだろうが。


「『アンパン』ってもんらしいぜ?」

「「「アンパン??」」」

「俺も詳しく聞いてねぇが、エディに献上したもんの余りだと」

「「えぇえええ!?」」


 まあ、エディの話題出しゃ……トラディスとシェリーはそんな反応するよなあ?


「献上品をか? わざわざ俺らにもくれるたぁ……ほんと、気前の良いやつだな?」

「だなあ?」


 なんだかんだ、ジェフは冷静に分析してるな?

 包みのひとつを開けてみたが……小ぶりのパンが出てきた。てっぺんには……ケシの実か? 

 アンパンってそもそもどんなパンだ??

 ひとり一個ずつあったんで……包みを持ってみたんだが。


「「「重!?」」」

「重い!?」


 想像以上に、重みがあった。持てないくらいじゃないが……小さい割に、めちゃくちゃ重い!?

 こりゃ……どんなパンだ? ポーションだよな??
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