スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第263話 ケントの加護

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 なになに!?

 僕……どうしちゃったの!?

 攻撃手段を手に入れちゃった!!?

 前に、エディの前で見せたのよりも……はるかにすんごいんだけど!!?


「……考えられるとすれば」


 僕があわあわしていると、お師匠さんがぽんぽんと僕の頭を叩いてきた。


「……お師匠さん?」

「私とケントとの共通点だ」

「へ?」

「転生者……そして、神より与えられた特典。つまるところ、『加護』だ」

「……加護」

「私もだが、君は食事をポーションに出来る。それ以外に、自衛の攻撃手段を与えられていてもおかしくない」

「……サーブが?」

「可能性としてだが」


 あのイケメン神様からの……特典?

 前に、ラティストが過度なポーション効果の付与を抑えてもらったんじゃ?

 それとは別?

 僕がラティストに振り返ると……ジェイドと一緒にため息を吐いてた。


「……やっちゃう?」

「……話はつけたが、未明だそうだ」

「うふふ……僕らの愛し子にねぇ?」

「……落ち着け」

「兄さんこそ?」


 なんか、物騒な雰囲気丸出しなんだけど!?


「え? え? なんか大変??」

「ケントは気にしなくていいよー?」

「……あれが阿呆なだけだ」


 イケメン神様……コテンパンにしてやられちゃったのかな?

 ものすごく……不憫でしかない。

 終わったのなら、僕がフォローしても手遅れだ。


「……ケントに不必要な害はないのか?」

「ひとまずはな」

「僕らの機嫌を取る以前の問題だよ。全く」


 ぷりぷり怒るジェイドはかわいいけど……ますます、イケメン神様が不憫でならない。僕は会えないだろうけど……ポーションパンで労われないかなあ? ラティスト達に言ったら怒られそうだから、言わないけど。


「けど、ケント! 前向きに考えれば、ラティストが間に合わなかった場合……今の打ち方で襲撃者とかぶちのめせるぞ!!」

「物騒なこと言わないで!?」

「万が一のことは無くもないだろ?」

「……そうかもだけど」


 僕は!

 平和に!!

 ポーションパンで色んな人達を手助けしたいんだ!!

 たしかに……お城に来て、実は結構狙われる立場だったのは自覚したけどね?

 ラティストがいなきゃ……僕は、自分で自分を守れなかった。この先……エディとかが、改革を頑張っても僕を狙うお貴族さんとかが根絶やしになるとは、限らない。

 そう言う意味では、今の打ち方で襲撃者を倒す方法は考慮しておくべき。

 出来るだけ……やりたくないけど。


「あくまで、最終手段だ。ケントに害がないようにするのは……俺の仕事だ。契約精霊として」

「……ありがとう」

「あっしも頑張るでやんすよ!」

「……カウルも?」

「発酵を利用して……溶かすことは出来るでやんすよ?」

「……極力使わないで」


 カウルには、お料理上手なスライムで居て欲しいです。
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