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第258話 朝ご飯中に

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「お、来たか?」


 食堂に案内してもらうと、エディは先にコーヒーぽいのを飲んでたんだけど。


(……予想してたより、部屋狭い)


 テレビとか映画であったセットとかだと……王様とかお貴族様って、もっと広々とした部屋にめちゃくちゃデカい長テーブルだったけど。

 普通のLDKくらいの広さに、数人座れる程度の椅子とテーブルしかない。それでも高級品には見えるけどね?


「あ? どした?」


 エディは僕のぽかん顔に、首を傾げたから僕も答えようと……執事さんに座るように言われた席に腰かけた。


「……ううん。思っていたより、シンプルな造りなんだなって」

「ああ。今は俺と爺くらいしか使わないし……王族もあんま人数いないしな? じい様とかは離宮だしよ」

「? エディ、兄弟は?」

「いねぇ。だから、俺が嫌でも王は即位しなきゃなんなかった」

「……そうなんだ」


 僕も一人っ子だったけど……エディはもっと孤独だったかもしれない。昨夜のパジャマパーティーで……聞いてて思ったんだ。この人は、全くではないけど……『ひとり』だったんだって。

 ギルハーツさんとかはいても、友達や家族とかがいなかった。

 レイザーさんとは知り合いでも……いつも会えるわけじゃないから。


「……とりあえず、朝飯食おうぜ?」


 僕らのあとに、お師匠さんとジェイドも来たから……エディがサッと手を挙げれば。

 あっという間に、テーブルにたくさんの朝食セットが並んだんだ。

 すっごい……豪華!!

 ハッシュドポテトとか……ちゃんと作ったことないから嬉しい!!


(……いただきます)


 エディには転生者って打ち明けても、一応執事さんとかがいるから……らしいことは控えて。

 ラティストも食べていいか目配せしたから、頷いてあげた。なんだかんだで、お腹空いているのかも。

 お師匠さんは……いつもならがっつくのに、場所が場所だから静かに食べてる。一応、ケースバイケース出来る人だったんだ。

 ジェイドも今日は静かだし。


「ケント。勲章を与え、俺のマブダチになったことだから……とりあえず、爵位に近いもんがあると考えてくれ」

「へ?」


 ハッシュドポテトでほくほくしてると、エディがニヤリと笑いながら言ったんだ。


「何もケントだけじゃない。Aランクっことで、ヴィンクスにも既に与えてはある」

「……一応、ですが」

「……必要なの?」

「まだくすぶっている連中に舐められんためだ」


 それと、とエディは近くにいる執事さんを呼んだ。その人は布に包まれた何かを持ってたんだよね。それを取ると。


「……こちらにございます」

「この紋章を、店の目立つ場所に設置して欲しい」


 めちゃくちゃかっこいい、紫と銀の紋章らしいレリーフだけど。

 どんな意味があるんだろう?


「それなーに?」

「ぶっちゃけて言うと、王に認められた店だ」

「……一応、私の店にもあるぞ。ケント」

「……そうなんですね」


 つまり……王家御用達になるわけか。僕らのお店。

 けど、それくらいにしないと……信頼性ないもんね? これからを考えると。
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