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第257話 しっかり寝て

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 ぐっすり……寝たと思う。

 気がついたら、日の出が出ていたから。

 最初は『寝坊!?』と思ってたけど……忘れてた。

 結局、今日もお店はお休みにして……エディの『お城』に泊まらせてもらってたんだった。

 僕のすぐ隣には、スライムのカウルが寝てて。

 隣のベッドでは、ラティストがうつ伏せになりながら寝てた。


「……そーっと」


 僕はベッドからゆっくり出て……テラスに行くことにした。昼間にちょっと見てみたいと思ってたからだ。

 大きなガラス戸もゆっくり開けると、外は朝日がまぶしかった。


「……綺麗」


 昨日の朝は、エディの案内でテレポートを使って……いきなりお城に到着だったから。お城の外観とかよくわかっていなかった。だから、僕達が泊まらせてもらった部屋からは……大きな湖が見えたからびっくり。

 湖面に朝日が反射して……こっちもまぶしい。

 エディは、普段はこんな綺麗な場所に住んでいるんだ?


「……起きたのか」


 外を眺めていたら、ラティストが起きてきた。ちょっと風が入ったから、冷たくて起きたかもしれない。


「うん。しっかり寝たからかな?」

「……休みの日でも、早起きだからな」

「もう日課だね」


 異世界に転生して。

 カウルとエリーちゃんと出会って……ロイズさん経由でラティストも救出して。

 まさか、未熟な製パン専門生が……ポーションにもなるパン屋を開けるって。

 誰が予想出来ただろうか。僕も、未だに……信じられない時がある。

 それが、知らなかったとは言え……国王だったマブダチにも認めてもらえたんだから。


「……今日はそのまま帰るか?」

「最低、朝ご飯はもらえるんじゃない? お城のだから豪華そうだけど」

「……ケントのパンがいい」

「えー? エディに申し訳ないよ?」


 大精霊の大好物と言ってもらえるのは嬉しいけど……ここは我慢してもらおう。

 ちょうど、ノックの音がしたので……執事さんが僕の服だけ持ってきて、着替えて欲しいと言ってきた。


「食堂へのご案内をさせていただきます。エヴァンス殿は別の者が担当していますので」

「わかりました」


 お師匠さんは、爆食いするかと思ったけど……一応ここはお城だし、しないかな?

 家主はエディだし……僕に王様だって隠してた時は、普通に接してたけど。でも、僕が知ったら……ちゃんとかしこまっていた。どっちが本当なのかな?

 とりあえず、落ち着いた茶系の綺麗な服に着替えてから……一瞬で、大精霊の服になったラティストと。まだちょっと眠そうなカウルを抱っこしてから、執事さんの案内で食堂に行くことになりました。
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