スライムからパンを作ろう！〜そのパンは全てポーションだけど、絶品！！〜

第240話 羨望から

　我らが主である……神がまた、酷く面倒な状況になっています。


「……あんぱん！！　あんぱん……あんぱんだとぉおおおおおおおおお！！」


　今日も今日とて、神は水鏡を覗いていらっしゃいますね。

　そして、ダンダンと……叫びながら水鏡を叩いていらっしゃいます。実にうるさいですね？


『……どうされたのですか？』


　しかしながら……神の御使ゆえに無視は出来ませんね。

　声をかけますと、振り返ってくださいましたが半泣きでしたね。


「ケントが！！　とうとうあんぱんを再現したのだ！！」

『……あんぱん？』

「豆を甘く煮たのを、包んで焼いたパンだ！！　めちゃくちゃ美味いパンなのだ！！」

『……ふぅむ。美味しいパン？　ですか？』

「日本独自のパンだ！　まさか、我が世界で再現出来るとは！！」

『……あの者だから、出来たのでは？』

「それもあるが、精霊の里が支援した理由もある。小豆を提供されたお陰もあるらしい」

『……なるほど』


　であれば、何よりも特別なパンでしょう。

　そこまで聞くと食べたくなってしまいますね。二回目に購入させていただいたパンもそろそろ無くなってしまいますから……買いに行きましょうか？

　しかし……そうであれば、神は私にお使いを頼むはずですのに？


「あの国王に！！　献上する品であれば食えぬ！！」

『……あら』


　それは残念ですね？

　献上品であれば、試食でエリザベス達と食すことが出来るのでしょう。しかし、残念ですね……。それだけ美味しいのなら、口にしてみたかったのですが。


「甘いだけでなく！！　ほくほくして香ばしいパンと名高い！！　一度は食べてみたいのを！！　ケントの店ではすぐに販売しないだなんて！！」

『……そこまでですか』


　神が狂うように焦がれているのであれば……物凄く美味しいのでしょう。食べてみたいです！

　今まで口にしてきた……サクサクしたパン達も物凄く美味しかったですのに。ケーキもふわふわで甘くて食べやすかったですのに。

　それ以上のものを食べられないだなんて……酷ですね。

　そこまで仰られるのであれば……私も食べてみたくなるではないですか！！


「しかも！　コーヒー牛乳も用意するとは！！　用意周到過ぎではないかぁあああ！！？　めちゃくちゃ美味いだろう！？」

『……コーヒーに牛乳ですか？』

「二つを混ぜた甘い飲み物だ！」

『……それはここで作ってみましょうか？』

「シロトぉ！！」


　コーヒーと牛乳でしたら……この神域でも用意は出来ますからね？

　しかし……甘さは砂糖がいいでしょうか？　蜂蜜でしょうか？

　神の方が詳しいでしょうから、お聞きしながら作ってみましょう。