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第236話 生産ギルド事情

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 なんかまた……すげーポーションパンが出来そうな知らせがあった。


「……あんぱん?」


 ケントから、魔法蝶の通達があったんだが……作る予定のパンがよくわからん。

 アズキ……と言う豆もだが、甘いパンを作るのも。豆を甘く煮る発想が、そもそも無いせいもあるからだが。


「……けど。ケントのパンだから……美味いはずだ」


 生産ギルド主催のオークション。

 ケントがリオーネに来て、ポーションパン屋を開いてからは……効果の高く、かつ味の良いのはこっちに回しているが……飛ぶように高値で取り引き出来ている。

 だから……ギルドとしてもだが、ケントの懐も潤っている。信用も信頼も高い。他の街からわざわざオークションに来る客も多いからなあ?

 腐った貴族どもは、即刻辞退と捕縛してるが。俺が動く前に屈強部類の冒険者らがやってくれている。それだけ……ケントのポーションパンは公平に取り引きすべきものだと認識されてんだ。

 自発的にそう動いてくれるのは助かる。

 ギルドとしての対処の前に……ケントの人柄を知った人間が多いせいもあるだろう。

 俺の昔馴染みの嬢ちゃんと付き合ったばかりの……異世界から転生したあの坊主は、ほんとすげぇな?


「ロ~イ~ズ~ぅ!」


 そろそろ支度するために、書類を片付けようとしたら……冒険者ギルドのマスターであるルゥがノックも無しに入って来た。いつものことなのでいいが。


「……どーした?」

「聞いたわよ! ケントちゃんがまた美味しそうなパン作るんですってぇ!」


 手に魔法蝶の通達持っているから、こいつも呼ばれたんだろうなあ? それは全然問題ないんだが。


「ああ。陛下に献上……予定のパンらしい。俺らには試食してほしいんだと」

「んふふ。実は遊んだりもするくらいー、仲が良いのにねん?」

「……今は言えねぇだろ?」


 ケントのマブダチってことになっている青年が……実は国王陛下だって。

 ケントは信頼しているのか、鑑定を使って調べていないようだが……そんなけ、一緒に居て気楽な関係なんだろうな? エリーと付き合うのにも、一役買ってくださったとは聞いたが。


「そうねん? 式典も近いしぃ? あんぱんって何かしら? 精霊の主食をわざわざ使うのでしょん?」

「……そこなんだよな」


 魔法蝶に書いてあったが……ラティストがわざわざ里に行って調達してくるくらい、気に入った食材らしい。正確には、調理後のものをだが。

 ルゥは精霊使いでもあるから、余程気になってんだろうな? 気になるだと、今日の水着アーマーも際どい格好だ! 俺は! ケントらにバレたが……こいつが好きなのに!! 良い年してっが目に毒だ!!


「ロイズ!!」


 ルゥと首をひねっていたら、昔馴染みがもうひとり来た。

 入って来たのは、ヴィー。契約精霊のジェイドも連れて来やがった。


「おー、ヴィー?」

「邪魔をする! 魔法蝶は届いたのだろう? 是非提案したい飲み物がある!」

「「飲み物?」」

「コーヒーと砂糖、牛乳を使った甘い飲み物だ!」

「そんなのどーすんの?」

「ケントの提案するパンには合うんだ! すっごく!!」


 幼馴染みで、実は転生者。

 俺らに隠す必要がなくなってから……生き生きしているなあ?

 引きこもりよりは全然いいが。

 とりあえず……冷たいもんがいいらしく、俺が材料用意してヴィーが合わせたら。


「「美味しい!?」」

「……めちゃくちゃ甘いが、わずかな苦味が良い!」


 ってくらい美味い……『コーヒー牛乳』言うもんが出来た!!
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