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第212話 忘れてたポーションパン

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 ざっと、魔導具辞書と睨めっこしていると……一個、見つけたんだ!!


【『サクトロ、グラタンコロッケサンド』


 ・風邪、完全回復


 ・裂傷完治


 ・疲労度中回復



 】




 まだまだ寒い、今の時期には……ぴったりなんじゃないかな?

 グラタンコロッケ……手間はかかるけど、美味しいしね?

 たしか……エリーちゃんにも試食してもらって、美味しいと言ってもらえたような覚えがある。

 すぐに作りたいけど……まだ僕も完全回復していない。

 とくれば、だ!


「自分にポーション使っちゃいけないとかないもんね!!」


 収納魔法の中身を確認するのに……ステータス画面を展開させ、見てみれば。

 ちょうど、グラタンコロッケサンドが二個あった!?

 慌てて、一個だけ取り出したんだけど。


「……ずっしり、重ーい!」


 カウル達と作ったとは言え……コンビニやファストフード店よりも大きいんじゃないかな?

 バンズもだけど、コロッケも分厚い。

 そこに千切りキャベツとお師匠さん監修のウスターソースたっぷり。

 絶対……美味しいと思うと。

 小腹が空いていたこともあり、僕は迷わず……食べ始めた!!


「~~~!? ん~!! 美味しい!!」


 収納魔法に入れてたから、ほんのりあったかいし。

 バンズはふわもち。

 千切りは細長いから、シャキシャキしてる。

 そこに、ウスターソースたっぷりのコロッケ。中身は贅沢ホワイトソースに柔らかいマカロニがぎっしり!!

 我ながら……自画自賛したい美味しさ!!

 一瞬、目の前が光ったが……ポーション効果が発動した証拠だ。

 試しに、ベッドから出てみると……疲れとかだるさが全部治ってた!!?


「よっし! 効果抜群!!」


 お腹は満たされたけど……風邪でしばらく寝込んでいたから、ちゃんとお風呂に入っていない。

 このまま、エリーちゃんに会いに行くのは衛生上よろしくないので……まずは、お風呂でしっかり汚れを落とそう!!

 浄化効果のポーションパンもあるけど……お腹いっぱいだし、やっぱり日本人としてはお風呂大事だもんね?


「あれ? ケン兄さん?」


 階段を降りようとしたら、カウルと鉢合わせた。布とか桶があるから、また拭いてくれようとしてたのかな?

 さらに下から、ラティストも来たんだ。


「……大丈夫なのか?」

「うん! ポーションパン食べたからスッキリ!!」

「「あ」」


 二人とも、僕と同じようにポーションパンのこと忘れてたから……お口あんぐりになっちゃった。

 だけど、ラティストの触診で本当に大丈夫と確認してから……せっかくなので、僕はカウルとお風呂に入ることにしたよ。


「治って良かったでやんすぅ!」

「心配かけてごめんねー?」


 綺麗さっぱりになったら……エリーちゃんのところに行こう。

 やっぱり……心配だから!
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