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第200話 酔っ払い③

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 エリーちゃんを、どうすればいいのかわからず……あたふたしていたんだけど。

 誰かが近づいてきて、エリーちゃんの頭にぽんと手を置いたのは。ラティストだった。


「…………落ち着け」


 静かな声が、僕の耳に届くと。

 ふにゃふにゃで可愛い声を出しながら、僕にすりすりしていたエリーちゃんの動きが……止まったのだ。


「……………………あれ?」


 声もしっかりしたものに。

 ラティストの『ぽん』だけで落ち着いたと言うことは……つまり。

 僕が、以前エディと飲み会をした時にやってくれたのと同じような方法で……エリーちゃんの酔いを覚ましたと言うこと?


「……正気に戻ったか?」

「え、あ、うん? ……え、え?」

「ひとまず。ケントから離れろ」

「ケント? ……ああああああぁああああぁ!?」


 ラティストとのやり取りで、ようやく僕にしがみついていることを自覚して。僕の顔を見たら、バッて離れて後ろに下がった。

 自分でしたことをあんまり覚えていなかったのだろう。めちゃくちゃ顔を赤くして……すぐに、毛布を被って丸くなっちゃった。


「……エリーちゃん?」

「ごめんごめんごめんごめん!! どうかしてた!? あたし、何したのぉお!?」

「強い酒飲んで、酔っ払っただけだぜ? ケントが止めに入ったら抱きついて」

「いやああああああ!!」


 レイザーさんの説明を聞いて、力いっぱい叫んじゃった……。

 そんなにも、嫌な思いさせちゃったかな……?

 ふにゃふにゃだった時は、嬉しそうに僕に抱きついてくれたのに。ちょっと……いや、だいぶ悲しい。

 ショックもあるが、ここは誤解をとかなきゃと……僕はエリーちゃんの方に近づいた。


「……大丈夫だよ、エリーちゃん」


 軽くぽんぽんしてあげたら、エリーちゃんはぴたっと止まってくれた。


「……だって」

「大丈夫大丈夫。びっくりしたけど……嫌じゃなかったし」

「……ほんと?」

「ほんとほんと」


 エリーちゃんの事が大好きな僕にとっては、ウェルカムだけど……エリーちゃんの方は違うかもしれない。

 僕の事は友達だとは思ってくれているだろうけど……恋愛対象じゃないだろうし。友達の迷惑になった事を恥じているかもしれない。

 そんな事はないよー? と、またぽんぽんしてあげることにした。


「……ごめん。ありがとう」


 毛布から出てきたエリーちゃんは、ちょっと涙顔だったけど。

 可愛いが、抱きしめちゃいけない。

 僕は好きでも、エリーちゃんは違うかもしれないもんね?

 とりあえず……そこから、エリーちゃんはお酒を飲まずにポーションパンをちまちまと食べていくことになった。
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