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第176話 彼女が好き

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 その日……楽しかった忘年会までは良かったのに。

 僕は今……楽しかった以上の悩みを抱えてしまうことになったのだ!?


(ぼ……僕が! え……エリーちゃんを!?)


 す……好きだと自覚したばっかりなのです!?

 ただいま……向かいに、ルゥさんとお師匠がいらっしゃる。僕はお師匠さんに言われ、ソファの上で正座。

 カウルとラティストは……執務室の隅で雑魚寝。

 ロイズさんはエリーちゃんを仮眠室に運び終わったのか……僕が正座したあたりで戻ってきた。


「あ? どした?」


 状況を理解してない人には、何が起こったかわかんないもんね?


「ロイズぅ~。やっとなのよん」

「あ?」

「ケントが……やっと自覚したようだ」

「は? 意味わか…………ああ。そう言うことか?」


 お師匠さん達の言葉で、察しがついたのか。ロイズさんは、僕の前に来ると髪をわしゃわしゃと撫でくり回したのだ!


「え、え?」

「やーっと自覚したのかよ、ケント!」

「ろ、ロイズさん……知って!?」

「確定したのは、お前さんらがプレゼントを褒め合っていた時だがな?」


 あの瞬間でバレた!?

 僕は自覚する手前だったのに……他の人にはバレバレだったみたい?

 プレゼントの中身とかは……本当にただの思いつきで決めたのに。けど……なんとなく、エリーちゃんとかに似合うよなあって毛糸選びに行った時は思ったわけで。

 つまり……そう言うことだ。


「……お師匠さん達に、顔は褒めていただけましたが。やっぱり自信無いです」


 ひょろっこいし。

 童顔だし。

 男らしく無いし。

 美人なエリーちゃんの横に立つ自信なんて……さらさら無い。

 しゅんとしていると……今度はロイズさんに強めに殴られた!?


「自信無いとか言うな!?」


 結構痛かったので、返事が出来なかったけど。

 強い言葉に、思わず顔を上げた。ロイズさんは……ちょっと怒っているようだった。


「……ロイズさん?」

「自信なんて、あとでどうにもなる! お前さんはエリーが好きじゃねぇのか?」

「…………友達としては」

「それ以上は?」

「……はい。す……好き、です」


 絶対言えと言う圧で口にしちゃったけど。

 言ってしまうと……すとんと何かシコリのようなものが落ちた気がした。


「ほらな? 認めちまえば、いくらか楽だろ?」

「……はい」


 好き。

 好き……。

 綺麗な赤い髪もだけど……チャーミングな笑顔とか、元気いっぱいなとことか。

 今まで……前世でもだけど、ちゃんと『恋』ってしたことがなかったから。

 これがそうなんだ……と思うと、一気に心臓が痛いくらいに脈打つ気がしたぁ!?


「頑張れケント! 今は無理だが、近いうちに告るんだ!!」

「応援するわよん?」

「だな!」


 大人組にこうも後押しされたのであれば。

 僕は……人生初の告白を、エリーちゃんにしようと決めました!!

 どのタイミングで言うかは……まだわかんないけど。

 これについては……エディにも相談に乗ってもらいたいなあ。
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