153 / 559
第153話 神らの願望
しおりを挟む「───────……いーい、なあ……」
水鏡を覗きながら……我は、ケントらが『ケーキ』を食べている光景を、恨めしく見つめていた。
実に美味そうなそれに……我は久しく感じていなかった『ヨダレ』が出そうになったぞ!
食べたいが食べられない!!
神に食事は不要と誰が言った!?
我とて、食べたいものは食べたい!!
『ダメですよ、神よ』
こっそり、忍んで行ってみようかと考えていたら……白猫の御使がバッサリと切り捨ててきたのだ。
「……だが。ポーションでなくとも、あれは魅力的だ」
『魅力的なのはわかりますが……あの大精霊に、今度こそ殺されますよ?』
「う」
たしかに……ラティストなら、やりかねん。
と言うか、ラティストの方が食べ放題を満喫しているではないか!?
効能のセーブは何とかしたんだから……ちょっとくらい。ちょっとくらい!!
『ダメです』
「まだ何も」
『いけません』
「……まだ何も」
『神が行かれるのはいけません』
「……うう……ん?」
今、いくらか引っかかるような物言いだったような?
よく、御使の顔を見れば……笑っていた。
『私が忍んで行き、お使いをしてきましょう』
「……良いのか?」
『神もですが、私も少々あの者のパンなどが気になっていたもので』
クルッと、軽く回れば……白猫だった御使が、白髪ショートヘアの美少女に変身した。
「……頼んだぞ」
絶対、あの美味そうなパンやケーキを手に入れて欲しい!
ラティストには……きっと気づかれるだろうが、我が出向くよりはずっとマシだろう。
『御意。この姿の時は、シロトと名乗ります』
「よかろう。シロトよ……行くのだ」
『はっ』
早く……早く手にしたいが。
シロトはひとつ頷いて……我の前から瞬時にあちらへと移動したのだった。
応援ありがとうございます!
19
お気に入りに追加
475
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる