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第148話 初めてのケーキ

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 俺は、ミハイム。

 自慢じゃないけど……城下町であるリオーネではそこそこ人気のあるお菓子屋をやってる職人なんだ。

 そんな俺に……まだ開店して数ヶ月だけど、とっても美味しくて『ポーション』にもなるパンを作ってる若い店主から、提案があったんだ!

 俺に……冬の季節をイメージした『ケーキ』や『お菓子』を共同開発しないかって!

 その店主……ケント君は、パンは作れても……お菓子はよくてクッキーとかしか作れないから。

 だから、彼のお師匠さんでもあるヴィンクスさんからもお願いされたんだ~!

 俺、お菓子しか特技のない男だったけど……役に立てるのならめちゃくちゃ嬉しい!!

 作れないけど、アイディアは豊富にある二人の知恵を借りて……俺はさっそく試作をしてみたんだ。

 冬だと……白いクリームのケーキはもちろんだけど、チョコレートのケーキもいいんだって!

 どこで、そんなお菓子と出会ったんだろう?

 先代の親父もだけど、リオーネ近辺のお菓子屋じゃ……そう言うのなかったし?

 ケント君はこのリオーネ出身じゃないのは聞いてるが、ヴィンクスさんは違うはず。


「ま、そこ気にしててもしょーがないか?」


 今はお菓子作りだ!

 チョコレートのクリームって、あんまり作ったことないけど……チョコレートの香りは幸せそのものだからね!

 あんまり使い過ぎると……さすがに俺でも酔っちゃう気分になるけど。


「……うん、美味しい~」


 試作してみた、チョコレートを混ぜた生クリームは美味しく出来上がっていた。

 これを……さらにチョコレートを混ぜたスポンジ生地に塗っていくだなんて、チョコレート好きにはたまらないケーキになるだろうなあ?

 ただし、ただ甘いだけじゃなくて……季節の果物も、クリームを生地に挟む時に入れると、舌が疲れないんだって。

 それは……凄く勉強になる!

 たしかに……ケント君のところで出してる、お菓子っぽいパンってそんな感じだから。

 フルーツサンドって言う、俺もお気に入りのもすっごく美味しいもん!


「えーっと……これとこれを組み合わせて」


 いちご、蜜漬けにした柑橘類。あと、南国の酸っぱい果物。

 こんなにも? と思うけど……ケント君を信じて!!

 試作だけど、たくさん使ってみるんだ!!

 俺が今作っているのは……チョコレートのケーキでも二種類。

 チョコレートのショートケーキに、ブッシュドノエルって言うの。

 ブッシュは言いにくいけど……簡単に言えばクリームをたくさん使ったロールケーキだって。

 ケント君達のイメージだと、木の切り株に似せたケーキ。

 不恰好にならないようにするには……僕の手腕にかかっているんだ。

 俺、頑張るよ!!


「えーと……クルッと」


 巻いたロールケーキを、太さをバラバラに切って。

 土台の上に置き、クリームを塗って……さらに、道具を使って木の皮をイメージ出来るように線を入れれば!!


「出来た!」


 それらしいケーキが出来たんじゃないかな?

 ショートケーキの方も続けて完成させて、亜空間収納に入れてから……俺はケント君のところに魔法蝶を飛ばして。

 片付けもそこそこに、俺もお店に向かった!!
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