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第144話 頭を抱えたい

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「……マジかよ」


 目ん玉、ひん剥く勢いになりかけたぞ?!


「……事実だ」

「そうなのよねぇん?」


 今執務室には、俺以外に幼馴染みや古馴染みがいる。

 そいつらからの報告に、俺は頭を抱えそうになった!!


「……陛下が……ケントと友達?」


 何がどう言う理由でそうなった!?

 ケントに問いただそうにも、あいつは陛下が国王だとは知らないようで……純粋に友達だと思っているらしい。

 しかも、陛下公認の『マブダチ』だとぉ?!


「すんごく、仲良さげよん?」

「……だな」


 事実を見届けていたらしい二人は、同じような言葉を口にするだけ。

 それほど……陛下はケントのことを気に入っているのだろう。だからって、あいつが実は異世界からの渡航者とバレたら!!

 もっと色々面倒なことが起きそうだ!!


「そーんなにも落ち込まなくて、大丈夫よん? ケントちゃんはケントちゃんだものぉ」

「……本当か、ルゥ?」

「ええ。それに、陛下は生き生きとされていたわん?」

「……ケントと関わる時は、普通の青年のようだったな」

「……マジか」


 陛下はもともと突拍子もない部分はあるが……馬鹿ではない。

 先代よりも、ある意味『賢王』とも呼ばれている若き国王だ。

 そして……ヴィー達からの報告が間違いなければ、他国をも巻き込んで貴族改革に勤しんでいるらしい。

 ケントんとこに遊びに来たと言うことは……ひと段落ついたってことだろうが。

 にしたって、早過ぎねぇか!?

 ケントと出会ってまだ半月程度だろ!?


「言いたいことが山ほどあるのはお互い様だ。しかし……イシュラリア家からのバックアップ以上に、陛下に認められた人間だ。ラティストのことも薄々勘付いているだろうし……この国どころか、世界事情が変わるかもしれんな?」

「陛下は~、気に入った相手のこととなれば……絶対手を抜かないもの~?」

「その通り」


 俺だけが、ケントと陛下が並んでいる様子を見ていないが。

 この二人がそういうくらいなのだから……きっと間違いはない。

 異世界からの渡航者は、恐るべし……だな。ヴィーは色々違うが。


「わーった。んじゃ、ケントにはいずれ陛下ご自身が告げるまで……あの方の正体は秘密にしとくのか?」

「本人がそう希望されていたからな?」

「その方がいいわねぇ?」


 いい意味で、この街を中心に……世界改革が為されていく。

 そのきっかけを作ったのが、エリーが見つけた……ケント。

 あいつは、どこまでこの世界を変えてくれんだ?

 神の御意向もあれど……やり過ぎなくらいやってくれるぜ。
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