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第142話 そのパンもやっぱり

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【『皆で作ったりんご入りちぎりパン』


 ・擦り傷完治


 ・腰痛・腹痛(軽度完治


 ・疲労回復(中)



 以上になります



 】




 やっぱり、ポーションパンになっちゃった!?


「……数名の手が加わったのに、この効果か」


 お師匠さんにも鑑定のスキルがあるので、ステータスの部分が見えているわけで。


「……これ、売りものになりますよね?」

「……そうだな。家庭のパン料理だが、十分売りものにはなる」

「おーい? ふたりしてどーした?」


 エディには僕らのやり取りが聞こえていないので、出来上がったパンを早く食べたい顔になってた。


「えーっと……エディ。ちょっとごめんね?」

「うん?」

「僕も手伝ったら、ポーションのパンになっちゃって」

「へ? マジ!」


 嬉しかったのか、目がキラキラしていく。

 まあ、ポーションのパンが出来上がるのを見るのは初めてだもんね?


「……食べたい?」

「もち!」

「……お師匠さん、いいです?」

「……商品化への検討はまたにすれば良い。今回はいいだろう」

「……と言うより、お師匠さんも食べたいんですか?」

「おやつは別腹だ!!」


 と言うわけで、ラティストの手も借りて……紅茶を入れることにした。りんご系だけど……ラム酒ぽいのも入れてあるから紅茶の方が合うと思って。

 ちぎりパンは大きめのお皿にどーんと乗せちゃって。

 改めて、表面は白パンぽいけど……いい匂いに全員感心しちゃった。


「ケント、ケント! これ……繋ぎ目からちぎるのか!?」

「うん。だから、ちぎりパンって言うんだよ」


 では、と食べることになったが……取り合いを予想してたけど、エディもお師匠さんもお互いに端と端をちぎって。

 目の前に持ってきたら、はむっとひとくち。


「うんめぇ!?」

「これは……!」


 食べてくれたら、多分疲労回復の効果が出たのか……ふたりとも体が光ったんだよね?

 ラティストとカウルも同じなのか、一瞬、ぱあっと。

 なので、僕もちぎってひと口食べてみると。


(……美味しい)


 生地は窯で焼いた時とは違う感じなのは当然だけど。

 ほわっと、ふんわりしている生地。

 底の焦げ目は香ばしく。

 中身のりんご以外にレーズンやナッツを入れた、ラム酒風味のものは……甘くて幸せの味。

 これ……さらにバター塗ったら美味しいかも。カロリーの暴力だからやらないけどね?

 やっぱり、皆で作る料理って美味しいや。


「うんま!! もっと食いてぇ!」


 とか、一個で感動してたら……エディがあっという間に半分も食べてた!?

 あと、お師匠さんも負けじと!? ってくらいに!?


「……エディ。僕はいいけど、ラティスト達のことも考えて」

「……おぅ。悪りぃ」


 僕がちょっとだけ怒ると、エディはしゅんとなってくれた。

 そのあとは、エディが帰るまで……皆でお茶タイムが続いていく。お師匠さんにも食べ過ぎはもちろん注意したよ?
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