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第136話 ハンバーグディッシュ②

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「食い過ぎた……」

「後悔ないでやんすぅ」


 ケントがまだ陛下と店に戻ってこないのをいいことに。

 私はカウルと……ホットケーキのハンバーグディッシュを完食してしまったのだ。

 ハンバーグは二個ほど食べたが……ホットケーキはお互い五枚ずつ。

 食べ盛りをそこそこ越えた年齢だと言うのに、柄にも無く……食べ過ぎた。

 しかしながら……カウルの言う通り、後悔は一切していない。

 今は、食休みも兼ねて後片付けをしている。清潔にせねば、ケントの明日からの仕事に影響が出てしまうからな。今の自宅なども徐々に掃除を始めた、元ヒッキーがここまで改善出来るとは。

 我ながら驚きである。


「……カフェメニューに欲しいくらいだ」


 ケントが仕込んで、カウルと協力して焼いたハンバーグ。

 即席だが、ケチャップとウスターソースで作ったお好みソース。

 これが……凄く……物凄く、相性が良かったのだ!!

 普段、ケントが丹精込めてつくるデミグラスソース入りのハンバーグサンドや、普通のハンバーガーももちろん美味いのだが。

 我ながら、チープな味わいを求めていたため……非常に満足出来た。是非とも、こちらの茶店ことカフェにも加えて欲しいメニューだ。


「カフェ、でやんすか?」


 食洗機はオープンキッチンにあるが、せっかくなのでと私が汚れを洗剤などで落とし……カウルには仕上げの磨きを頼んだ。タオルなどで拭くのではなく、カウルのスライム体に取り込んで綺麗ピカピカにしていくだけだが。

 これは、ケントも時々やっているそうなので私も真似をしたのだが……思っていた以上に面白く仕上がるので、どんどん洗っていった。

 金属製の皿も綺麗ピカピカにしてくれるからな?


「人間が茶などを求める場所のことだ。食堂とは少し違う」

「……それに、さっきあっしらが食べたものが?」

「私とケントの前世では、あちこちにあったな。ディッシュなどのプレートもあれだけではない」

「凄いでやんすねぇ!」

「茶店とかにバターロールなどを卸す機会があれば……状況が変わってくるだろうが」


 そのためには、作業員を増やさなくてはいけない。

 私は私で、あくまでケントの師匠だ。

 自分の店もあるし、今でこそ出不精を少しずつ改善出来ても……こちらにいるわけにはいかない。

 調合に似た計量はともかく、形を作る段階の作業はまるで役に立たないからな?


「……ケン兄さんのパンでやんすねぇ。もっとたくさん広まって欲しいでやんす」

「……それが、神の願いだがな」


 いきなり、こっちの夢に来て『与えよう』と言われた時は何事かと思ったがな!?

 とりあえず、日々のポーション製造にだいぶ改善点は見つけることが出来たが。

 流通云々は、ケントを連れて行ってしまった陛下が何も考えていらっしゃらないわけがない。

 イシュラリア伯爵がバックアップについているのだ。

 それを許可された以外にも……ケントをマブダチだと断言されたのだ。

 脱走癖を減らすくらい、何か計画されているだろう。

 それにしても……すぐではないだろうが、いつ帰ってくるんだ?
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