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第127話 美肌効果のパン

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「「肌が潤うパン!?」」


 ポンデケージョを売り出す前に、今日は魔法蝶を使って集まってもらった人達がいます。


「う、潤う……は言い過ぎかもだけど、お肌に効果があるパンが出来ちゃって」

「充分よ、ケント!」

「そうですよ!!」


 ソロのBランク冒険者のエリーちゃんに加え、ただいまCランクを目指している『シリウスの風』メンバーのシェリーさん。

 仲の良い女の子の友達と言えば、この二人しかいないので来てもらったんだ。

 ルゥさんにはすぐに売り出して欲しいとは言われたけど、ルゥさんはエルフさんだから人間じゃないし。なので、この二人なのです。


「このパンなんだけど」


 収納魔法から出したポンデケージョを見ても、二人は意外そうな顔をするだけ。

 多分、もっと綺麗か派手なイメージをしていたかも。ポンデケージョはゲンコツみたいで素朴な見た目のパンだから。


「……これなの?」

「そう。市場で変わった食材を勧められて……僕の故郷にもあった食べ物なんだけど、粉も小麦粉以外に色々使ってるんだ」

「……どんな味なんですか?」

「チーズを入れているので、塩っぱい寄りかな」

「「へー!!」」


 で、それぞれ持ってもらうと……やっぱりもちもちした感触が初めてだから、不思議そうになるのは仕方ないかもだけど。


「……フニフニ?」

「柔らかいのとも、少し違いますね?」

「さ、食べてみて」

「んじゃ、遠慮なく!」


 エリーちゃんが先に食べ出すと……やっぱり、すぐに身体が光って……ルゥさんの時とは少し違って、肌に艶が増した感じ?

 外からの陽射しも相まって、少し光っているように見えた。


「私も!」


 それを見たシェリーさんもすぐに食べ出すと……同じように光って、艶々に。若い人ほど……効果は絶大と言うことかな?

 二人はお互いを見ると、すぐに指を向けた。


「シェリー!? めちゃくちゃ肌光っているわよ!?」

「エリーも!!」

「……効果はちゃんと人間にも効くんだね」


 僕は、はしゃぐ二人をよそにちょっと遠くを見つめることにした。

 体を清潔にする効果はお師匠さんの場合でも試したけど……美肌効果は、ちょっとまずいかも。

 普段から女性客も多く来るので……ラティスト目当ての女性冒険者さんとかが殺到しそうだ!!

 これは……対策考えなくちゃ!!?


「……豆腐を使った、パンか」


 エリーちゃん達には、まだ売り出すのを秘密にしてもらい……入れ替わりに、お師匠さんをお呼びしたのです。


「……はい。美味しいと思って、作ったんですけど」

「向上心は止めないが……それだけ、女に特化しそうなパンはまずいな」

「……ルゥさん達には、一応秘密にしてもらってます」

「それは妥当だ。……とくれば、オークションに回すのが良いだろう」

「ですかね?」

「ロイズが高値で捌いてくれるはずだ」

「……お金はいいんですけど」

「無いよりあった方がいい。むしろ、安値のポーションでは、信憑性が薄く思われてしまうからな。店頭で売っているパンは仕方がないにしてもだ」

「……そうですね」


 まだまだ、回復薬の流通事情は変わり始めたばかりだ。


「ケントー! 居るかー!?」


 で、話がまとまりそうになった時。

 裏口のドアから、少し久しぶりに聞く声がしたんだ。
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