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第122話 弟の来店②

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 ケントが棚に新しく持ってきたポーションパン達は……少し前に来た時と、また色々違っていた。


(……ハンバーガーってなに?)


 棚のところにある値札や効能のメモ書きを見ても、よくわからない。

 でも、半分くらい紙に包まれていて……上下をパン、間には具材がたっぷりと。それだけでとても美味しそうに見えて……これなら、父上達も喜ぶかもしれない。

 僕ら大精霊には、基本的に回復薬は効かないんだけど……ケントのは違う。

 魔力とか、精神力とか。

 そう言った不可思議なものには……僕らにも効果が見られる。

 その上、味もとても良いから……父上達が欲しがるのも無理ないもん。

 僕も、最初に食べた『ハンバーグサンド』って言うのはとっても美味しく感じたし。


(……あれ?)


 ハンバーガーを見てみると……間にハンバーグのようなものがある種類があった!! 

 それは食べたいと思い、一個じゃなく二個をトレーに乗せて……他にもないか色々吟味していると、トレーの上にはあっという間にたくさんのパンが乗っていた。

 あとで亜空間収納に入れるとは言え……潰れていなきゃいいけど。

 でも、欲しいものは手に入ったからと……兄さんの居る会計先に向かえば。


「…………」

「…………お願い、します」


 以前のように人間に変装してても、兄さんには当然バレているので……睨まれたけど、他の客がいないから普通に対応してくれた。

 表面上は。


【また来たのか】

【父上達からのお使いだよ……】

【……父上】


 念話ではやり取りしていた。

 結構呆れられていたけど……たくさんパン買ったんだもん。いいよね?

 複数出来た紙袋を亜空間収納に入れ、さて帰ろうとしたんだけど。

 ケントに呼び止められたんだ。


「たくさんのお買い上げありがとうございます。あちらの店員が渡し忘れていたので」


 と言って、僕に渡してきたのは……紙切れ。

 だけど、質の良いもので……紙には、いくつか囲いが記されていた。

 あといくつか、黒い印のようなものが囲いの中にあった。


「これは?」

「スタンプカードと言うものです。一定の額でひとつ押します。マスが全部埋まったら、特典の商品と交換出来るんですよ」

「……へぇ」


 面白い試みだ。

 以前来た時と、変装を変えているからケントは僕が『ジェイド』と気づかないけど……こう言う気遣いを出来る人間は貴重だ。やっぱり。


「またのお越しを」

「ありがとう」


 特典とやらは、あと少しだったけど。

 買い足さずに次回の楽しみにしておくことにして、僕は里に帰っていく。

 あのハンバーグぽいのが挟んである『ハンバーガー』のひとつは、途中でひとりで食べたけど!!
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