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第109話 打開策

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 これには、非常に悩んでしまうのも無理はない。


「……夕方セールとかしても無理だろうなあ」


 その日、余ったラインナップを見て……僕は頭を抱えてしまった。どうしよう……と思わず、情けない声が出ちゃうよ!?


「……サンドイッチにしてはダメなのか?」


 ラティストが提案してくれたけど、僕は首を横に振った。


「限界があるよ……」


 それに、サンドイッチ用の食パンとかは……ある程度乾燥させなきゃいけない。

 魔法でその手段が出来なくもないけど、僕とラティストとカウルだけじゃ……人手も足りないし、作るのも数が大変だ。

 サンドイッチは人気商品でも……それもまた売れ残ったら意味がないんだ。


「……他に加工出来ねぇでやんすか?」


 カウルも意見を言ってくれたが……前世では、僕は製パン部門の学校に通っていただけで、ただの学生だった。

 パン屋を経営するだなんて、この世界でが初めてだし……経験がほとんど無いに等しい。

 だから、今回の事態をどう切り抜けるか、非常に困った!!


「……クルトンとか、ラスクは作れても」


 全部が全部、これまた売れるかどうかわからない。

 けど……一部はそっちに回してみよう。サンドイッチも少し回して。

 残りは……と、ここでラティストが僕の肩を叩いてきた。


「ケント、あれは使えるのでは?」

「あれ?」

「……お前が、朝食か八つ時に作ってくれた甘いパンだ。卵と牛乳などを使った」

「……おお!」


 ラティストの言いたいことがわかった。

『フレンチトースト』。

 あれには、ポーションの効能も少しだけなら出たし……店出し用にはもう少し固めに仕上げなきゃいけないけど。

 食パンもだけど、フランスパンでも出来る調理法があったはず!!

 その知識を思い出したので……僕は、彼に『ありがとう!!』と言ってハグしたのでした。


「……少し、恥ずかしい、が」

「……ごめん」


 勢い余って、イケメンさんに抱きついたのも……後になって僕自身も恥ずかしくなってしまった。

 とは言え、打開策が見つかりそうなら、実行に移すまで!!

 ラティストもだけど、カウルも一緒に仕込みをすることにした。


「……こんなにも、材料を使うでやんすか?」


 仕込みに用意した……卵、牛乳、砂糖に生クリームを見てカウルは驚いたようだ。


「カロリーの暴力だけど……しみしみにさせたいし、無限の材料も惜しみなく使うよ!」


 そして、仕上げには……ハチミツじゃなくて、お師匠さんの伝手で手に入れた、メープルシロップもどきをたっぷり使うんだ~!

 あの癖のある甘さも、パンケーキだけでなくフレンチトーストと相性間違いないと思うんだよね!!
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