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第106話 一件落着?
しおりを挟む「……で?」
場所は変わりまして……トラディスさん達『シリウスの風』が拠点にしている宿屋。
僕が来るのはまだ二度目だけど、昼間は初めてだから……広く感じちゃうんだよね?
『シリウスの風』はシェリーさん以外男だけだし、大部屋を借りるのは仕方がない。
と、現実逃避している場合ではないのです!!
変装を解いた僕らは……待っていたジェフさんにより、何故か正座モードにさせられている。どうやら、トラディスさんの相棒である魔剣のフランツさんにより……異世界……多分僕がいたとこ……の文化をちょくちょく取り入れているので、これも知っているのだとか。
とにかく、めっちゃ怒って仁王立ちしているジェフさんが怖いよぉ!?
「「「「…………」」」」
なんで怒っているのか。
最初はわかんなかったけど……だんだんと縮こまっていく、僕の前にいたトラディスさんの背中を見ると……なんとなくでもわかってきたぞ!?
「あ、あの~……」
ここはもう勢いだ! と僕は挙手してみた。
すると、ジェフさんはまだ不機嫌だが……『なんだ?』と返事はしてくれた。
「……もしかして、トラディスさんの声。あの時聞こえたんですか?」
ジェフさんがシェリーさんを追いかけていく時に、トラディスさんがジェフさんを応援した掛け声。
思い当たるとすれば、あれしか思いつかない。
「……ああ」
と、ジェフさんは頷き、トラディスさんに視線を向けた。
トラディスさんはさらに縮こまってしまい……ちょっと可哀想に思えてきたよ! ジェフさん落ち着いて!?
「んだよ。いつから気づいてた?」
レイザーさんは諦めたのか、思いっきり肩を落とした。
そのすぐあとに……ジェフさんから半分本気のようなゲンコツをお見舞いされたので、床に突っ伏してしまったが!?
「チリチリ視線は感じてたぜ!? お前ら……わざとだったのかよ!!」
「じぇ、ジェフ……落ち着いて?」
「おまけに、なんでケント達までいやがんだ!?」
「……あたし達は、シェリーの友達として見守ってただけよ?」
「…………はぁー……」
エリーちゃんも開き直っていたけど……僕は無言で頷くしか出来ない。
ゲンコツはないだろうけど……ため息を吐いているジェフさんは、まだ少し怒っているみたいだし。
「で、でも! 私達を応援してくれてたんだよね? ……あ、ありがと。エリー、ケントさん」
「どうってことないわ」
「……シェリー」
真っ赤になってて可愛いシェリーさんが、天使のように見えたよ!
エリーちゃんは勝手に正座姿勢を止めて、シェリーさんにぎゅっと抱きつきに行った。女の子同士の特権だね?
「えーっと……とりあえずすみません。覗き見しちゃってて」
ジェフさんもちょっと落ち着いてきたから、僕は改めて謝罪した。その言葉に、ジェフさんはやっと苦笑いになってくれた。
「まあ、お前さんとエリーはまだ良い。……トラディスとレイザーは、ちぃっと待てや」
いつのまにか、レイザーさんを抱えていたトラディスさんが逃げようとしていた。
声を掛けられたトラディスさんは……くるっと振り返って、良い笑顔になるとそのまま駆け足で逃げちゃった!
当然、ジェフさんは『待て!!』と声を上げて行っちゃったけど……。
「……馬鹿な男どもの事はほっとくに限るわ」
「「あはは……」」
とりあえず、一件落着かな?
あ、エディにも無事に解決したことは一応連絡しようかな?
応援ありがとうございます!
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