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第102話 見守り会③

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 なんでなんで、どうして?

 どうして……シェリーさんが逃げ出しちゃうことに!?


「「「えぇえ!?」」」


 僕もだけど、遠目に見ていたエリーちゃん達も驚かないわけがない!!


「ど、どうして?」

「シェリーさん……自分で解決したのに?」

「なんで逃げんのよ、シェリー!?」

「……あぁ。あれか?」


 レイザーさんは思い当たったのか、軽く自分の顎を撫でていた。


「お兄さん、わかったの?!」

「多分、あれだ。実力は知ってるジェフにでも……女らしくないとこ見せただろ? あいつは思わねぇだろうが……シェリーにとっては落胆されたかとか思ったんじゃねぇか?」

「「「……ああ」」」


 その説明に、僕らは納得が出来……取り残されたジェフさんを見ると。ぽっかーんとしてたが、すぐに頭を振って衛兵さん達に一言二言告げてから走り出した!!


「頑張れー、ジェフさーん!!」


 トラディスさんが声を上げたけど、ジェフさんには聞こえていなかったのか……ジェフさんはあっと言う間に行ってしまった。

 あの脚じゃ、この中だとトラディスさんしか追いつけないらしいけど……多分、大丈夫だと思う。

 シェリーさんが抱えちゃった、心のしこりを取り除けられるのは、ジェフさんだけだからね!!


「……僕ら、どうします?」


 見守る予定ではいたけど……流石に、このまま追いかけるわけにはいかないもんね?


「そうねぇ? どっかでダベる?」

「だなあ?」

「ケントさん、生産ギルドが管理してる美味しい食堂があるんですよ。行きませんか?」

「おお!」


 ちょっとお世話になってた高級お宿以外で、ほとんど外食したことがないから……魅力的なお誘いだ。

 僕は頷かないわけがない!!

 なので、場所移動して……僕らはトラディスさんが言った食堂に向かうことになった。


「……さて。シェリーとジェフがくっつくのも時間の問題だとは思うが」


 変装したままのレイザーさんは、癖なのかまた自分の顎を軽く撫でた。


「? 何か問題でも?」

「ああ……いきなり、結婚するとは言わねぇとは思う」

「思う? けど?」

「……どっちかが、腑抜けにならなきゃいいが」

「お兄さん、心配し過ぎだよ」


 レイザーさんの言葉に、全員分の注文をしてくれたトラディスさんが苦笑いした。


「……そうか?」

「シェリーさんが逃げちゃう前、すっごくいい感じだったでしょ? いいパートナーになると思うよ、二人とも」

「そうですね」


 僕もそう思う。

 僕は前世でもほとんど恋愛とかして来なかったけど……あんなにもお互いを尊重し合っているカップルは、絶対うまく行くと思う。

 シェリーさんの実力が、あんなにも凄いのは僕もすっごく驚いちゃったけど……。


「そうね。あの二人なら大丈夫だと思うわ」


 エリーちゃんもふりかえってそう感じたのか、とってもいい笑顔で頷いていた。


「……そう願うか」


 けど、この中だと一番ジェフさんとの付き合いが長いレイザーさんは、まだ少し心配しているようだった。
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