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第88話 こいつの本性
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馬鹿とは言わねぇが……阿呆とは言いたかった!?
なんで、そんな簡単に言い切るんだ!!
「…………エディ、お前さん……マジで言ってんのか?」
スバルのパン屋の……店端にまた引っ張って来たが、エディはニカっと笑うだけだった。
「大マジだぜ? レイザー」
その本気の表情に、俺は大袈裟なくらいため息を吐くしか出来ん。
「…………一国の『王』が、庶民とダチって」
全くないわけじゃねぇが……他国の王族である俺とかの前で断言するか普通!?
今は軽く魔法で変装しているが……こいつは、ヒーディア国の現国王。
エリシオン=ハーヴェスト=ヒーディア。
俺とは古馴染みだが……先に国王になったのはこいつの方だ。親御さんの前王が諸国漫遊の旅に出たいからと、さっさと王位を継がせたのが理由だが。
とは言え、こいつも脱走癖が強いから……臣下の連中どもが苦労しているだろうに。しかし、王としてやるべきことはやってるようで……まあ、腐った大半の貴族連中の手綱は握っているらしいが。
「いいだろ? 保護と後ろ盾の意味も当然あるが……俺の事を全く知らねぇでも、あんな気持ちのイイ奴は居ねぇ!! 俺も大してダチはいねぇし、マブダチに欲しい!!」
「大声出すな!? ……わーったよ」
俺も守護の指輪をケントに与えたとは言え……もっと上の連中がバックにいるとなれば、安心は出来る。
特に、国王であるエディがここまで気に入ったとなれば……いずれ、俺ら『シリウスの風』がリオーネから離れても大丈夫だとは言い切れるからな?
「しっかし……謎が多過ぎるのも気になるな? さっき会ったラティストもだけど」
……言えるか。
シェリーにはまだ伝えていないが……あのラティストって美形は、ただの男じゃねぇ。
世界に名の知れた……創始の大精霊である『ラティスト=ルーア=ガージェン』。その張本人だと言えるか、こいつに!?
ますます興味持って、ケントの周囲をガチガチに守護で固めるだろう。気に入った奴だからこそ、それくらいバックアップしてもおかしくねぇ……。
だが……ここのギルマスには筒抜けだろうから、さっさと聞き出してしまいそうだがな。
「……あいつは、ケントの保護者だ」
「ふーん。そっか~。ま、王としていずれは対面するだろうけど……腐った連中の炙り出しは、いつも以上に頑張らねぇとなあ?」
やべ。
こいつ、相当ケントのことが気に入ったようだ。
たしかに、ケントはうちのトラディス並みに気遣いが半端なく出来る野郎だ。まだトラディスをこいつに弟と紹介してねぇが……絶対、ダチにしてぇと言い出しそうだ。
とにかく、気に入ったやつは全力で力になってやろうと思うのが……エディだ。今回は変装ついでに視察に来ただけだろうに、ケントの中身を知って予想以上に気に入ったときた。でなきゃ、ダチ以上にマブダチとは簡単に言わねぇ奴だからな?
「……まあ。ほどほどにしとけよ? あの腐った連中はウヨウヨいるしな」
「そこはしゃーねぇ。今まで手ぇ抜いてたのは、もうやめだ。王らしく、きっちりするぜ?」
「……おう」
ケント自身、まだまだ謎が多いのは本当だが。
マジで、最強のマブダチをゲットしてしまったな……あいつ。
今は、トラディス達と仲良く団欒しつつ接客している好青年は、いつかそれを知るだろうか?
なんで、そんな簡単に言い切るんだ!!
「…………エディ、お前さん……マジで言ってんのか?」
スバルのパン屋の……店端にまた引っ張って来たが、エディはニカっと笑うだけだった。
「大マジだぜ? レイザー」
その本気の表情に、俺は大袈裟なくらいため息を吐くしか出来ん。
「…………一国の『王』が、庶民とダチって」
全くないわけじゃねぇが……他国の王族である俺とかの前で断言するか普通!?
今は軽く魔法で変装しているが……こいつは、ヒーディア国の現国王。
エリシオン=ハーヴェスト=ヒーディア。
俺とは古馴染みだが……先に国王になったのはこいつの方だ。親御さんの前王が諸国漫遊の旅に出たいからと、さっさと王位を継がせたのが理由だが。
とは言え、こいつも脱走癖が強いから……臣下の連中どもが苦労しているだろうに。しかし、王としてやるべきことはやってるようで……まあ、腐った大半の貴族連中の手綱は握っているらしいが。
「いいだろ? 保護と後ろ盾の意味も当然あるが……俺の事を全く知らねぇでも、あんな気持ちのイイ奴は居ねぇ!! 俺も大してダチはいねぇし、マブダチに欲しい!!」
「大声出すな!? ……わーったよ」
俺も守護の指輪をケントに与えたとは言え……もっと上の連中がバックにいるとなれば、安心は出来る。
特に、国王であるエディがここまで気に入ったとなれば……いずれ、俺ら『シリウスの風』がリオーネから離れても大丈夫だとは言い切れるからな?
「しっかし……謎が多過ぎるのも気になるな? さっき会ったラティストもだけど」
……言えるか。
シェリーにはまだ伝えていないが……あのラティストって美形は、ただの男じゃねぇ。
世界に名の知れた……創始の大精霊である『ラティスト=ルーア=ガージェン』。その張本人だと言えるか、こいつに!?
ますます興味持って、ケントの周囲をガチガチに守護で固めるだろう。気に入った奴だからこそ、それくらいバックアップしてもおかしくねぇ……。
だが……ここのギルマスには筒抜けだろうから、さっさと聞き出してしまいそうだがな。
「……あいつは、ケントの保護者だ」
「ふーん。そっか~。ま、王としていずれは対面するだろうけど……腐った連中の炙り出しは、いつも以上に頑張らねぇとなあ?」
やべ。
こいつ、相当ケントのことが気に入ったようだ。
たしかに、ケントはうちのトラディス並みに気遣いが半端なく出来る野郎だ。まだトラディスをこいつに弟と紹介してねぇが……絶対、ダチにしてぇと言い出しそうだ。
とにかく、気に入ったやつは全力で力になってやろうと思うのが……エディだ。今回は変装ついでに視察に来ただけだろうに、ケントの中身を知って予想以上に気に入ったときた。でなきゃ、ダチ以上にマブダチとは簡単に言わねぇ奴だからな?
「……まあ。ほどほどにしとけよ? あの腐った連中はウヨウヨいるしな」
「そこはしゃーねぇ。今まで手ぇ抜いてたのは、もうやめだ。王らしく、きっちりするぜ?」
「……おう」
ケント自身、まだまだ謎が多いのは本当だが。
マジで、最強のマブダチをゲットしてしまったな……あいつ。
今は、トラディス達と仲良く団欒しつつ接客している好青年は、いつかそれを知るだろうか?
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