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第35話 ポーションパン屋オープン
しおりを挟む「いらっしゃいませ~」
パン屋をオープンしたのは、ロイズさんから看板を受け取った一週間後。
出来るだけ清潔にしたいのももちろんだったけど、何度も何度も試作を繰り返して……生産ギルドへの納品もすることで、宣伝もしたかったから。
街中とは言え、元パン屋だった建物の噂はリオーネ中に広まっていた。レイスがいなくなっても……悪い噂はなかなか消えないからね?
なので、少しでもいい印象を持ってくれるように……僕とラティストがメインになって、手作りチラシを生産ギルドの前で配ることにしたんだ。
その時は、イケメン以上に美形のラティストに群がるお姉さん達が大変だったけど。
「お兄さん~、あたし達とお茶しなぁい?」
「……断る」
「んもぉ~、つれなぁい」
ラティストは、自分が大精霊だと簡単に言えないのと……あんまり騒がしくし過ぎると、お店がオープン出来ないかもしれないから……と、ロイズさんやルゥさんの忠告もあったんで、簡単には凄い魔法は使えない。
とは言え、逆ナンに困っているのは助けてあげたいところだけど。
「…………邪魔だ。こちらは仕事のために、ここにいるだけだ」
「「「つれなぁい~~」」
けど、ラティストのちょっと怒った声でお姉さん達はあっさり帰っていった。
何か魔法でもしたのかと思っても、魔法についてはまだまだ初心者の僕には全然わかんない。足元にいるカウルは苦笑いのような声を漏らしたけど。
「……何故寄ってくるんだ」
「ラティストが綺麗だからだよ?」
「俺としては、ケントのように清らかな魂の持ち主が好ましい」
「ありがとー」
そう言うところがイケメンなんだよ、と言ってもわからないだろうけど。
とりあえず、手作りパンフを配ったのとオークションでの認知度も高かったせいか……オープン当日は、外で行列が出来てしまっていた。
「「「「「早くはやく~~!!」」」」」
待ち切れないお客さん達にちょっと苦笑いしちゃうけど……僕が扉を開けてから、まず注意点をお客さん達に伝えることにした。
「いらっしゃいませ、ようこそポーションパン屋・スバルへ。皆さんにはまずいくつか注意点があります」
「「「「「注意点??」」」」」
「万引きなどの軽犯罪などについてです。もし、代金などを支払わず……無断で盗難やその場で食べてしまった場合。生産ギルドのギルマスさんから、ギルドへの入退場禁止並びに牢屋への連行などがあります。ここも、二度と入店をお断りしますよ」
「「「「「は、はい!!」」」」」
最後の言葉を、ちょっと強く言うと……飛び込みしそうだったお客さん達は綺麗に整列してくれました。
「では、改めて。ようこそ、ポーションパン屋へ!」
オークションとは違って、どれだけ売れるのか。
追加も焼く予定ではいるけど……レジ係のラティストがまた逆ナンされそうだったので、僕は再度注意しましたとも。
その効果があってか、戸棚に並べていたパン達はすぐに売り切れてしまった。
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