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第34話 開店準備

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 僕が転生してから、だいたい二週間くらい経った頃には。

 僕とカウルとラティスト。

 僕ら三名のお店と住居……つまり、パン屋が開店出来る準備が整うことが出来た!!

 日本感覚でも早いとは思うけど……ラティストを取り込んでたレイスとやらは、別に物を壊していたわけじゃなかったみたいでほとんどの家具とかは綺麗なままだった。

 だから、肝心の厨房……そこは僕の『オープンキッチン』を展開させればいいから大丈夫。

 住む部屋については、二階が住居スペースになってたので掃除すれば全然大丈夫だった。引越しも僕は特に荷物もなかったし、食材のほとんども収納魔法の中に入れちゃっているから。


「おーい、看板持ってきたぞー」


 けど、清潔は第一だと……引越し当日も全員であちこち掃除をしていると、ロイズさんが看板を持ってきてくれた。


「ありがとうございます、ロイズさん」

「いいってことよ。……随分と綺麗になったな?」

「カウルとラティストのお陰です」


 カウルはもともと、ゴミとかチリを栄養源にしていたから……そう言うのは食べてくれていたし。

 ラティストは、仕上げの磨きとかを魔法でちょちょいと。あんまり魔法頼りもよくないので、本当に仕上げだけだ。今は、あの特徴的な黒いマントなどの服装じゃなく、僕のような普通のシャツとズボンを着ている。それだけでも、まぶしいくらいのイケメンオーラは隠せていないけどね?


「つか、ほんとにこれで良かったのか?」


 ロイズさんが持っていた看板を僕らに見せてくれたんだけど……ちゃんと、僕のリクエスト通りに仕上がっていた。


「はい、大丈夫です」

「『スバル』って初めて聞くが……それも異世界の言葉か?」

「星の名前なんです」


 日本に居た頃は、例の友人経由でよく聞いた言葉だった。

 漫画、小説もだが、アニメや映画だったり。名前でもあったけど、滅多につけられない。僕の名前の漢字も珍しいけど……珍しいポーションのパン屋だから、ちょっとカッコつけた名前にしたかったんだ。


「星か……たしかに、星の導きもあってここが出来たが」

「『統べる』って意味もあって……色々縁もあって集まった僕らにはぴったりかと」

「ほー? そうか」


 早速、かけてみようと僕は一度受け取ったけど……踏み台がないと無理だったので、ラティストに交代してかけてもらった。


「おー!」

「でやんすー!」


 金属製の看板には、『ポーションパン屋 スバル』とこちらの世界の言葉で書かれていた。シンプルだけど、カッコいい看板にテンションが上がらないわけがない!!

 ぴょんと跳んだカウルを抱っこして、お互いに嬉しさを噛み締めていると……ロイズさんには頭をぐりぐり撫でられた。


「頼むぜ? お前らで捌けられねぇ分のポーションパンは……俺んとこのオークションで今まで通りに売ってやる。今日の分はあるか?」

「はい、もちろん!」


 ひとまずは、惣菜パンを中心に作って……軽く梱包もしたので、ロイズさんの収納魔法の中に入れてもらい。

 彼が帰った後は、看板を下ろして中に戻ることにした。


「いよいよでやんすねぇ?」


 休憩も兼ねて、ティータイムをしているとカウルがしみじみと頷いていた。


「……そうだな。きちんと住む場所も出来たのだから、これから忙しいだろう」

「だね。二人にはたくさん頼っちゃうけど」

「どんと来いでやんす!」

「……技術はともかく、なんでも使ってくれ」

「ありがとうー」


 転生もだけど、こんな短期間で……夢だったパン屋を開くことが出来るだなんて思っていなかった。

 そのパンがアイテムになるのも驚いたが、きちんと生活するのもだけど……あのイケメン神様との約束通りに、この世界でのポーションの普及を頑張らなきゃ!!
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