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第30話 パンは種類豊富

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「……やり過ぎだ」


 異世界転生二日目にして、ポーションパン作りも二日目。

 これから納品する場所でもあり、僕の保護者的立場でもあるギルドマスターさんのロイズさんは、僕がテーブルに出した……皆で作ったポーションパンを見るなり、頭を抱え出したんだ。


「えっと……たくさん必要だと聞いたので」

「言った。言ったが……お前ら、限度を考えろ!?」


 テーブルに並べたポーションパンは、



 ハンバーグサンドイッチ


 昨日と同じタイプのオープンサンド


 卵サラダサンド


 シーチキンサンド


 余った具材で、丸パンに詰めて焼いたの



 全部が全部、きちんとポーションの効果が付与された立派なパン達ばかり。

 僕はともかく、エリーちゃんやラティストが苦戦していびつな形になったのは外して収納魔法の中に入れてある。そっちには、効果が特に付与されなかったんだよね?


「……ケントが作った、立派なものだが?」

「それはそうだが……!! 問い合わせ殺到してんだぞ!? まだあそこを改装してないからって、お前らせめて一種類にしろ!?」

「……たくさん作った方がいいと思って」


 好意がこの場合仇になってしまったんだろうか?

 ちょっと心配になっていると、ロイズさんには何故か頭をぽんぽんと撫でられた。


「……悪いとは言ってねぇ。むしろ、ギルドとしては助かった。次のオークションには間に合うからな? だが、店を始めるまでには前もって知らせてくれ。……まさか、これ以上種類があるわけないよなあ?」

「えっと……ありますけど?」

「…………どんくらい?」

「材料次第ですが……言っちゃうと、星の数くらい」

「……………………」


 これには、ロイズさんもだけどエリーちゃん達まで黙っちゃった。

 だって、海外のパンもだけど……日本のは種類が豊富過ぎて、僕が考えているよりもずっとずっと多い。専門学生だった頃は、バイトで貯めたお金でよくパン屋巡りしたけど……競合店区域に行くと目移りをよくしたのを覚えている。


「あ、でも。効果の付与はだいぶ安定してきました」

「……それは、な。だが、そんなけのパン……お前作れるのか?」

「全部は無理ですが……材料とかが揃えば」


 あと、レシピがあればもっと色々出来るけど……あのイケメン神様とはそこ決めていないんだよね?

 もちろん、全部が全部チートにしてちゃ面白くない理由でつけなかったのもあるし。あと、ポーションのパンを作れるとは思わなかったから。


「…………わかった。とりあえず、資金面の心配はするな。こいつらで当面賄える。エリー、今からはリオーネ案内してやれ」

「市場以外はまだだものね。わかったわ」

「ラティストはまだ霊体化しとけ」

「……わかった」


 観光は決まったことで、いざ出陣の前に。

 ロイズさんからは、いきなり肩を掴まれた。


「……創始の大精霊にめちゃくちゃ気に入られたんなら、なんらかの加護が増えてるはずだ。街では、絶対エリーらとはぐれんなよ!?」

「は、はい」


 子供じゃないけど、まだ完全に大人でもない。

 それはこの世界でも同じらしいので、カウルを抱っこしたまま……街に行ったんだけど。

 服屋さんに行こうとしたら、どう言うわけか。


「お前に用があんだよなあ?」


 と、エリーちゃんからいきなり引き剥がされ、ゴロツキと言う人種に囲まれてしまったのだ!?
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