スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第21話 ギルマスの心境

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 まったく……とんでもない『宝』を見つけてしまったもんだ。

 見つけたのは……俺の古馴染みの娘である、エリーが見つけてきたんだが。

 エリーが受付を通して伝えてきたのも……『面白いのと、例の件解決の糸口が見えた』とか、相変わらずよくわからん説明だったが。

 古い付き合いなので、だいたい言いたいことはわかった。

 それが……俺の度肝を貫く事態になるとは思わなかったが。


(……しかし、現実だった)


 エリーが連れてきた……しゃべるスライムをテイムしたと言う、ひょろっこくて女にも見えそうな顔の、ケントってガキ。

 そいつが……ただのテイマーではなく。美味そうなパンを作れて、さらにそのパンが『ポーションパン』って奇天烈なアイテムを製造出来たすげ~奴だとは、最初信じられなかった。

 おまけに……異世界からの転生者?

 馬鹿なことを……と、鑑定眼鏡を使っても、ステータスがエラーしまくりで検査できなかったと言うことは……そう言うこった。

 おまけに……例の件、レイスの退治にもそのパンが使えないか提案すると言う発想。

 だから俺は……信じようとした。

 それが成功したら……こいつを信じて、職も身の上の保障もしてやれると。

 実際……予想以上の成果が出て、創始の大精霊と契約しちまう結果となったが。


(……スライムを家族ねぇ?)


 まったくいないわけではないが、テイムした魔物を獣魔以上に思いやる人間はいないくない。それを……転生して間もない人間がああもあっさり言えるとは。しかも、ケントは……契約したラティストの方も、従業員として一緒にパン屋を切り盛りしたいと言い出した……。

 いや、良いんだが。


(……見た目ちょいちょい変えて……いや、面倒だな)


 契約したことで、本来の姿を取り戻したラティストの美貌は今更だ。

 ケントには、今少し高価な宿に泊まらせている。冒険者ギルドに、レイスの退治が完了したことを……昔馴染みのギルマスに報告したら、『持ってって~!!』とたんまり報酬を得たんで、それをほとんどケントに譲った。

 俺とエリーは金に不自由ないのに対し、ケントは何もない。

 めちゃくちゃ慌ててたが……ケントのポーションパンがなきゃ、あのレイスは倒せなかったし、ラティストも救出出来んかった。それに相応しい報酬だ。

 んでもって、俺が今すべきことは。


「いいか! よく聞け!!」


 ケントの店となる……あのパン屋を改装工事したり、他にも必要な経費とかをたんまり用意するためにも。

 ケントから譲ってもらった……あのポーションパンを、生産ギルドのオークションで売りに売りまくる。

 誰もが信じられないだろうが……超レアアイテムの鑑定眼鏡を持っている、ギルドマスターの俺を疑う連中は……そもそもオークションに来る時点でほぼ皆無。

 さて、どれだけの値が出てくるのか?

 初っ端から、安値で売るつもりはねぇけどな!!
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