スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第10話 身分証明書を作ろう①

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「次の……ああ、おかえり。エリザベス」

「戻ったわ。ちょっとお願いがあるの」


 僕らの番になると、兵士さんがエリーちゃんの顔を見ればすぐに笑顔になった。エリーちゃんも慣れているからか、手を軽く振っていた。


「お願い?」

「こっちの子に身分証明書を仮発行してあげて欲しいの。安心して? 超ど田舎からきただけだから、身分証がないだけ」

「……そうか」


 この設定も、歩きながら決めたので特に問題なし。


「抱えているスライムは、この子がテイムした子なの。狩る必要はまったくないわ」

「エリザベスがそこまで言うなら……おい。こっちは頼んだ。俺はエリザベスの用件を引き受ける」

「わかった」


 なので、僕らは兵士さんに付いていき、個室のような場所に案内させられた。椅子とテーブルがあるだけの簡単な部屋……ここで手続きとかするのかな?


「では、この紙に記入を」


 ぺらっと渡されたのは、履歴書みたいな紙だった。ちゃんとした普通紙で、ファンタジーに多い羊皮紙とかじゃない。


『……字は大丈夫なの?』

『……多分』


 僕とエリーちゃんは小声でやり取り。だって、僕あんまり実感ないけど……異世界からの転生者だし。通訳環境は大丈夫でも文字が書けるかどうか。

 試しに、一緒に机に置かれた羽根ペンを持って……名前の部分を書いても、兵士さんには何も言われなかった。エリーちゃんにも。

 あ、カウルはエリーちゃんが代わりに抱っこしてもらっているよ?

 文字は読めるし、日本語で書いても……イケメン神様の加護とやらで、こっちの文字に見えているのかもしれない。

 それは大助かりだと、エリーちゃんと決めた設定通りに記入していき。出来上がったら、兵士さんに渡した。


「……ケント。……は? 十九歳?」

「……そうなのよ」


 日本人顔のままで転生したから……設定決める時にエリーちゃんにも驚かれたが、僕がこちらの世界では成人しているのがびっくりするくらい、顔が童顔だ。

 背はまあまあ高いけど……兵士さんよりは低いんだよね? とほほ。

 だから、同い年とわかったエリーちゃんにも、ちょっと歳下っぽい扱い受けたもん!!

 あと、名字は田舎者なので無い設定にした。

 それと、日本名が呼びにくいのもあって。


「……まあ。エリザベスがわざわざ連れてきたしな? 仮発行はすぐ済む。少し待っててくれ」


 と、兵士さんが退室した後……僕らはハイタッチをした。


「ちょっと心配だったけど、何とかなりそうね?」

「うん! ありがとう」

「まだこれからよ? 生産ギルドに行って、君に色々お願いしたいから」

「僕にメリットがあるって言う?」

「そう。ギルマス……ギルドマスターが、あたしとは古馴染みなんだけど。最近、ちょっと困ったことがあるそうなの。内容は聞いているけど、君なら大丈夫だと思うのよ」

「なーに?」

「やんす?」


 僕らにメリットがあり、かつそのギルドマスターさんには困っていること。

 それについては、兵士さんが戻ってきたので直接生産ギルドに行くまでお預けになっちゃった。
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