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のっぺらぼう 弐
第3話 トリプルデート②
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美兎らも受付を済ませたら、すぐに飛びつきたいくらい魅力的な商業施設や遊戯施設が立ち並んでいた。
人間界を模しているとは聞いていたが、ある意味それ以上。人間社会ならぬ、あやかし界隈では取引きなどが盛んで、人間を食べなくなってから金銭や心の欠片で経済が潤っている。
真穂達が言うには、暇過ぎて余暇を楽しむ施設を作るのが楽しくなったから出来るようになったと。
「それに、ここ一年くらいで美兎や辰也達みたいな霊力の高い人間が界隈に出入り。そこに、大将経由で高品質の心の欠片が手に入った。大将もだけど、真穂達あやかし達の栄養源が増えたことに色々貢献してくれているのよ??」
美兎自身は貢献したつもりではなかったが、年度末に火坑が連れて行ってくれたあの換金所では……猫又の氷見子らが高額で心の欠片を取引してくれている。それを有効活用してくれているのなら、美兎も安心は出来るが。
とりあえず、今日行く施設は温水プール。
水着だなんて、去年はプールもだが海に行く余裕もなく……ただただ、仕事に慣れるべく頑張ったり、ご褒美に楽庵に行くのを楽しみにしていた。
だから、水着だなんて着る機会など……沓木や田城に誘われることがなかったため、新調することがなかった。なので、今回のっぺらぼうの芙美に提案され、彼女と真穂と一緒に矢場町にあるショッピングモールで選ぶことになった。
だが、火坑からひとつ提案されたのだ。
「……ビキニはやめてください」
と、水着を買いに行くとLIMEで知らせた時に、火坑からそのような意見を言われたのだ。珍しく、火坑からダメと言われるとは思わなかった。大抵のことにはニコニコとしている猫人ではあるが、先日の霊夢への相談の件の時もそうだった。
付き合って、半年程度だが……だんだんと火坑は美兎に対する独占欲が強くなってきている。とは言え、極力周囲に迷惑をかけようとはしない。美兎にも無理ない程度の……まだまだ可愛らしい独占欲。
美兎も、元彼の拓哉の時と違い、これについては心がくすぐったくなるので嬉しかった。
「や~ん!! 美兎ちゃん、かわいい~~!!」
更衣室で、芙美と真穂らと水着に着替えてからお互いのを見せ合いっ子になった。
「……普通、だと思うんですが」
特筆すべき体つきではないし、美女バージョンの真穂の方が断然プロポーションは素晴らしい。パレオはつけているが、水着は大胆なビキニ。他にもあやかしなどの客が多いだろうに、よく兄が許したものだ。
「何言ってんの?? 美兎のは美乳よ、美乳!!」
「ですよね! 真穂様!!」
「えぇ?? 芙美さん達に比べるとちっちゃいのに??」
火坑に胸などを見られたことがないが、真穂らが誉めるくらいならそれを知られているのなら……少し、嬉しくなった。だから、水着を指定してきたのだろう。
それに……猫人じゃない、響也の姿で来ている彼は……水着だと上半身の体つきが見られるのだ。興味がなかったわけではないが、こんな早く見られるとは。凄かったら、逆に美兎も心配になってしまう。
基本的に人当たりの良い彼のことだから、ナンパなどされたら断れない。……と思って、待ち合わせ場所まで向かえば。
「すみません。僕らには、既にパートナーがいますので」
狐耳、ウサギ耳などの美女達からの逆ナンに、火坑が華麗にお断りをしていたのには驚いた。
「かきょーさん、やるぅ?」
「……すいません、大将さん。俺は違うのに」
「いえいえ。本当のことですから」
そして、美兎がぽかんとしていれば……火坑が蕩けるような微笑みを浮かべて、美兎に近づくとすぐに腕を組んだのだ。
人間界を模しているとは聞いていたが、ある意味それ以上。人間社会ならぬ、あやかし界隈では取引きなどが盛んで、人間を食べなくなってから金銭や心の欠片で経済が潤っている。
真穂達が言うには、暇過ぎて余暇を楽しむ施設を作るのが楽しくなったから出来るようになったと。
「それに、ここ一年くらいで美兎や辰也達みたいな霊力の高い人間が界隈に出入り。そこに、大将経由で高品質の心の欠片が手に入った。大将もだけど、真穂達あやかし達の栄養源が増えたことに色々貢献してくれているのよ??」
美兎自身は貢献したつもりではなかったが、年度末に火坑が連れて行ってくれたあの換金所では……猫又の氷見子らが高額で心の欠片を取引してくれている。それを有効活用してくれているのなら、美兎も安心は出来るが。
とりあえず、今日行く施設は温水プール。
水着だなんて、去年はプールもだが海に行く余裕もなく……ただただ、仕事に慣れるべく頑張ったり、ご褒美に楽庵に行くのを楽しみにしていた。
だから、水着だなんて着る機会など……沓木や田城に誘われることがなかったため、新調することがなかった。なので、今回のっぺらぼうの芙美に提案され、彼女と真穂と一緒に矢場町にあるショッピングモールで選ぶことになった。
だが、火坑からひとつ提案されたのだ。
「……ビキニはやめてください」
と、水着を買いに行くとLIMEで知らせた時に、火坑からそのような意見を言われたのだ。珍しく、火坑からダメと言われるとは思わなかった。大抵のことにはニコニコとしている猫人ではあるが、先日の霊夢への相談の件の時もそうだった。
付き合って、半年程度だが……だんだんと火坑は美兎に対する独占欲が強くなってきている。とは言え、極力周囲に迷惑をかけようとはしない。美兎にも無理ない程度の……まだまだ可愛らしい独占欲。
美兎も、元彼の拓哉の時と違い、これについては心がくすぐったくなるので嬉しかった。
「や~ん!! 美兎ちゃん、かわいい~~!!」
更衣室で、芙美と真穂らと水着に着替えてからお互いのを見せ合いっ子になった。
「……普通、だと思うんですが」
特筆すべき体つきではないし、美女バージョンの真穂の方が断然プロポーションは素晴らしい。パレオはつけているが、水着は大胆なビキニ。他にもあやかしなどの客が多いだろうに、よく兄が許したものだ。
「何言ってんの?? 美兎のは美乳よ、美乳!!」
「ですよね! 真穂様!!」
「えぇ?? 芙美さん達に比べるとちっちゃいのに??」
火坑に胸などを見られたことがないが、真穂らが誉めるくらいならそれを知られているのなら……少し、嬉しくなった。だから、水着を指定してきたのだろう。
それに……猫人じゃない、響也の姿で来ている彼は……水着だと上半身の体つきが見られるのだ。興味がなかったわけではないが、こんな早く見られるとは。凄かったら、逆に美兎も心配になってしまう。
基本的に人当たりの良い彼のことだから、ナンパなどされたら断れない。……と思って、待ち合わせ場所まで向かえば。
「すみません。僕らには、既にパートナーがいますので」
狐耳、ウサギ耳などの美女達からの逆ナンに、火坑が華麗にお断りをしていたのには驚いた。
「かきょーさん、やるぅ?」
「……すいません、大将さん。俺は違うのに」
「いえいえ。本当のことですから」
そして、美兎がぽかんとしていれば……火坑が蕩けるような微笑みを浮かべて、美兎に近づくとすぐに腕を組んだのだ。
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