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火車 弐
第4話 飲み会①
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飲み会当日。
真衣は同期の湖沼美兎に連れられて、丸の内から栄に向かうことになった。
定時で無事に上がれたので、約束の時間には十分に間に合う。真衣は待ち合わせ場所に近づくごとに緊張感と心臓の鼓動が高まっていくのが落ち着かない。
つい先日、不動に会ったばかりだと言うのに……会社帰りに会うのは初めてだからだ。だから、出来るだけ可愛い服装にしているが名古屋の冬は突き刺すような風が強いので、その格好はもこもこの上着の下に隠れている。
行き先の店に着いたら自然と見せることになるとしても、可愛く思ってくれるだろうか。先日は適当な服と言うわけでもなかったが、見苦しかったかもしれない。
メイクもケバくはしていないし、ナチュラルメイクの方が好みだと勝手に思っているが。相手に好印象を持ってもらいたいと言うのは、女としても仕方がないかもしれない。
「真衣ちゃん、大丈夫?」
歩いていると、美兎から声をかけられた。そんな酷い顔をしていたのかと、頬を触ったが美兎には小さく苦笑いされた。
「あの、ね。美兎っち」
「うん?」
「この前……不動さんに会ったの」
「そうなの??」
今日までなんとなく言えずにいて、今言おうと口に出したのだ。
「……ちょっと栄に出た時に、偶然。で……ランチ奢ってもらっちゃった」
「すごいじゃん!! いい感じじゃない?」
「うん。…………あと、バレンタインにもイベントに誘ってもらえた」
「おお!? なになに??」
「大食い選手権……天丼のだけど」
「そっか? いい傾向だと思うよ? 連絡先交換とかした?」
「あ!? してない!!」
誘ってもらえた予定は立てたが、肝心なとこは何もしていない。イベントの話題を出した時に、絶対LIMEの交換はしようと真衣は心に決めた。
「あ、美作さーん!」
集合場所であるサンシャインの観覧車下に着くと、美兎が見つけた相手に声をかけていた。二人組の男性で、爽やか系イケメン以外に不動がいた。不動もこちらに気がつくと、真衣を見てくれて小さく会釈してくれた。
「お? 湖沼さん! えっと、そっちが」
爽やか系イケメンが、美兎の飲み友達である美作と言う男性。美兎には去年に恋人が出来たらしいがこのイケメンではなかったはず。
「はじめまして、田城真衣と言います」
だが、不動の知り合いでもある彼にはきちんと挨拶をしなくては。
「はじめまして、美作辰也です。湖沼さんとは飲み仲間で、こっちの不動とは会社の同期」
「よろしくお願いします」
不動と知り合い以上に同期とは驚いたが、世間は狭いと思うしかない。とりあえず、美作には会うと前もって教えてもらっていたので、真衣は彼と不動にrougeで購入したバレンタインプレゼントを渡すことにした。
「え、いいの?」
「早いですけど……もともと渡すつもりでいたので」
「そっか? 不動も大事に食えよ?」
「…………ああ」
この間と違い、今日はやけに無口だ。二人きりではないからだろうか。
「無愛想なんは相変わらずだなあ? この前も会ったって言ってただろ? 連絡先とか交換したのか?」
「…………してない!?」
「あ、あの!!」
今だ、と真衣は不動の前にスマホを差し出した。このチャンスを逃してはいけないと思ったから。
「え?」
「せ、せっかくなので……ID、交換しませんか!!」
「は、はい……」
真衣の勢いに負けたのか、不動は意外とあっさり連絡先を交換してくれた。
真衣は同期の湖沼美兎に連れられて、丸の内から栄に向かうことになった。
定時で無事に上がれたので、約束の時間には十分に間に合う。真衣は待ち合わせ場所に近づくごとに緊張感と心臓の鼓動が高まっていくのが落ち着かない。
つい先日、不動に会ったばかりだと言うのに……会社帰りに会うのは初めてだからだ。だから、出来るだけ可愛い服装にしているが名古屋の冬は突き刺すような風が強いので、その格好はもこもこの上着の下に隠れている。
行き先の店に着いたら自然と見せることになるとしても、可愛く思ってくれるだろうか。先日は適当な服と言うわけでもなかったが、見苦しかったかもしれない。
メイクもケバくはしていないし、ナチュラルメイクの方が好みだと勝手に思っているが。相手に好印象を持ってもらいたいと言うのは、女としても仕方がないかもしれない。
「真衣ちゃん、大丈夫?」
歩いていると、美兎から声をかけられた。そんな酷い顔をしていたのかと、頬を触ったが美兎には小さく苦笑いされた。
「あの、ね。美兎っち」
「うん?」
「この前……不動さんに会ったの」
「そうなの??」
今日までなんとなく言えずにいて、今言おうと口に出したのだ。
「……ちょっと栄に出た時に、偶然。で……ランチ奢ってもらっちゃった」
「すごいじゃん!! いい感じじゃない?」
「うん。…………あと、バレンタインにもイベントに誘ってもらえた」
「おお!? なになに??」
「大食い選手権……天丼のだけど」
「そっか? いい傾向だと思うよ? 連絡先交換とかした?」
「あ!? してない!!」
誘ってもらえた予定は立てたが、肝心なとこは何もしていない。イベントの話題を出した時に、絶対LIMEの交換はしようと真衣は心に決めた。
「あ、美作さーん!」
集合場所であるサンシャインの観覧車下に着くと、美兎が見つけた相手に声をかけていた。二人組の男性で、爽やか系イケメン以外に不動がいた。不動もこちらに気がつくと、真衣を見てくれて小さく会釈してくれた。
「お? 湖沼さん! えっと、そっちが」
爽やか系イケメンが、美兎の飲み友達である美作と言う男性。美兎には去年に恋人が出来たらしいがこのイケメンではなかったはず。
「はじめまして、田城真衣と言います」
だが、不動の知り合いでもある彼にはきちんと挨拶をしなくては。
「はじめまして、美作辰也です。湖沼さんとは飲み仲間で、こっちの不動とは会社の同期」
「よろしくお願いします」
不動と知り合い以上に同期とは驚いたが、世間は狭いと思うしかない。とりあえず、美作には会うと前もって教えてもらっていたので、真衣は彼と不動にrougeで購入したバレンタインプレゼントを渡すことにした。
「え、いいの?」
「早いですけど……もともと渡すつもりでいたので」
「そっか? 不動も大事に食えよ?」
「…………ああ」
この間と違い、今日はやけに無口だ。二人きりではないからだろうか。
「無愛想なんは相変わらずだなあ? この前も会ったって言ってただろ? 連絡先とか交換したのか?」
「…………してない!?」
「あ、あの!!」
今だ、と真衣は不動の前にスマホを差し出した。このチャンスを逃してはいけないと思ったから。
「え?」
「せ、せっかくなので……ID、交換しませんか!!」
「は、はい……」
真衣の勢いに負けたのか、不動は意外とあっさり連絡先を交換してくれた。
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