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猫人 弐
第5話 便利な調理器具と絆
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父にもだが、母にも喜んでもらえて何よりだった。
夕飯は一緒に食べれなかったが、火坑の人当たりの良さに家族はとても喜んでくれた。
拓哉とは違い過ぎると、誰も言わなかったが美兎は実感していた。人間などではない妖怪でも、中身は中身。
素敵過ぎる男性に変わりない。これからも付き合っていけるのに喜ばないわけがなかった。美兎は、お風呂に入ってから……久しぶりに家族だけの団欒と言うことで夕飯の準備をしている母を手伝うことにした。
「響也君のお料理には負けるけど、南蛮系が食べたくなったから。唐揚げでチキン南蛮風にするわ」
「ん。ゆで卵か玉ねぎ切ればいい??」
「玉ねぎにはこう言うのを買ったのよ」
と言って、母が戸棚から取り出したのはバレーボールとかより少し小ぶりサイズの丸っこいタッパーに似た器具。
内側には、フードプロセッサーのような鋭い刃が内蔵されていた。
「これ、なぁに??」
「あら、意外。あなたくらい若い子だと知ってそうだったけど」
「うちの会社でも、調理器具関連は別部署だし……」
「そうなのね? あのね、それ。簡易型のフードプロセッサーのようなものなの。電池とかはなしで」
「どう使うの??」
「論より証拠。玉ねぎは皮剥いて、芯と先端を取ったら適当な大きさにカットして??」
母に言われるがままに、玉ねぎを調理していき……その器具の蓋を開けてから入れて、また蓋をすると飾りだったツマミを母が引っ張り、出てきた紐を出したり閉まったりすると……内蔵の刃が動き出してまるでフードプロセッサーのように、玉ねぎをすぐにみじん切りにしていった。
「おお!?」
「ほんとはいっぺんにタルタルソース作れるんだけど。ゆで卵今からだし、手間かかるけどそれぞれの材料をチョッパーでみじん切りお願い」
「はーい」
こんな風に、母の手伝いをするだなんていつぶりだろうか。高校や大学は勉学に明け暮れて、家事を手伝うことがほとんどなかった。火坑に初めて心の欠片で見せてくれた、あのゾウさんのバッジを手にした時から……家族よりも自分を優先し過ぎていた。
男運もなかったし、バカな女だったと思う。
なのに、両親や兄は美兎を見放さなかった。
それについては、今は感謝してもし切れない。
とりあえず、母がメインで動いている間に美兎は自分なりに覚えた家事で、味噌汁やサラダとかを作ってみた。火坑にもだが、母にも負けるが悪くない見栄えだと思う。
「あら、上出来じゃない? 響也君に習ったの??」
「うーん。いつもカウンター席だから、見様見真似だけど」
ほんとは、座敷童子の真穂と半同居中なので彼女に教わりながら作っているのだ。今は、美兎の影の中にいるから、きっと声を押し殺しながら笑っているに違いない。
「あらそうなの? けど、手際が昔に比べたら凄くいいわ。…………ほんと、良い彼氏君に出会えたわね?」
「…………うん」
本当に、あやかしであれ、良い存在に出会えた。願わくば、彼とずっと一緒にいたいと思えるくらいに。
「けど、今度は海峰斗の彼女さんでしょ? なんか、あなた達のタイミング考えると知り合いかと思っちゃうけど」
その母の問いには、兄や真穂の許可なく言いたくはないのでスルーすることにした。
夕飯は一緒に食べれなかったが、火坑の人当たりの良さに家族はとても喜んでくれた。
拓哉とは違い過ぎると、誰も言わなかったが美兎は実感していた。人間などではない妖怪でも、中身は中身。
素敵過ぎる男性に変わりない。これからも付き合っていけるのに喜ばないわけがなかった。美兎は、お風呂に入ってから……久しぶりに家族だけの団欒と言うことで夕飯の準備をしている母を手伝うことにした。
「響也君のお料理には負けるけど、南蛮系が食べたくなったから。唐揚げでチキン南蛮風にするわ」
「ん。ゆで卵か玉ねぎ切ればいい??」
「玉ねぎにはこう言うのを買ったのよ」
と言って、母が戸棚から取り出したのはバレーボールとかより少し小ぶりサイズの丸っこいタッパーに似た器具。
内側には、フードプロセッサーのような鋭い刃が内蔵されていた。
「これ、なぁに??」
「あら、意外。あなたくらい若い子だと知ってそうだったけど」
「うちの会社でも、調理器具関連は別部署だし……」
「そうなのね? あのね、それ。簡易型のフードプロセッサーのようなものなの。電池とかはなしで」
「どう使うの??」
「論より証拠。玉ねぎは皮剥いて、芯と先端を取ったら適当な大きさにカットして??」
母に言われるがままに、玉ねぎを調理していき……その器具の蓋を開けてから入れて、また蓋をすると飾りだったツマミを母が引っ張り、出てきた紐を出したり閉まったりすると……内蔵の刃が動き出してまるでフードプロセッサーのように、玉ねぎをすぐにみじん切りにしていった。
「おお!?」
「ほんとはいっぺんにタルタルソース作れるんだけど。ゆで卵今からだし、手間かかるけどそれぞれの材料をチョッパーでみじん切りお願い」
「はーい」
こんな風に、母の手伝いをするだなんていつぶりだろうか。高校や大学は勉学に明け暮れて、家事を手伝うことがほとんどなかった。火坑に初めて心の欠片で見せてくれた、あのゾウさんのバッジを手にした時から……家族よりも自分を優先し過ぎていた。
男運もなかったし、バカな女だったと思う。
なのに、両親や兄は美兎を見放さなかった。
それについては、今は感謝してもし切れない。
とりあえず、母がメインで動いている間に美兎は自分なりに覚えた家事で、味噌汁やサラダとかを作ってみた。火坑にもだが、母にも負けるが悪くない見栄えだと思う。
「あら、上出来じゃない? 響也君に習ったの??」
「うーん。いつもカウンター席だから、見様見真似だけど」
ほんとは、座敷童子の真穂と半同居中なので彼女に教わりながら作っているのだ。今は、美兎の影の中にいるから、きっと声を押し殺しながら笑っているに違いない。
「あらそうなの? けど、手際が昔に比べたら凄くいいわ。…………ほんと、良い彼氏君に出会えたわね?」
「…………うん」
本当に、あやかしであれ、良い存在に出会えた。願わくば、彼とずっと一緒にいたいと思えるくらいに。
「けど、今度は海峰斗の彼女さんでしょ? なんか、あなた達のタイミング考えると知り合いかと思っちゃうけど」
その母の問いには、兄や真穂の許可なく言いたくはないのでスルーすることにした。
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