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猫又
第3話『愛知のお雑煮』
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新年のカウントダウンは、火坑のマンションで過ごして……共寝ももはやお約束という感じになり、競りに行けれるようにと日付が変わった直後に寝ることになった。
寝る時は、この前の泊まりも付き合う時もだったが、わざわざ火坑は人化……響也の姿になって寝てくれている。火坑が言うには毛まみれになるのが行けないのと、美兎を気遣ってくれているらしい。
それに、あやかしであれ動物に似た存在だからか、換毛期もあるようで……この時期は寝る時だと人化することが普通だそうだ。難儀な性質だなと思うしかない。そして、しっかり寝た後の朝。
てっきり、火坑は早く起きて朝食の支度をするかと思いきや、美兎と一緒に寝てくれていた。響也としての恋人の顔はイケメンを通り越して、美しく……どのパーツも非常に整っていた。
こんなにも素敵な人があやかしであれ、美兎の恋人だとは未だに信じられない部分がある。ずっと眺めていたいが、美兎は顔を洗いたくなってきたので、彼の腕からそっと抜け出す事にした……のだが。
(……あれ??)
緩んでいるはずの腕から抜け出そうとしたが、ガッチリと腰に腕を回されていたために、身じろぐことは出来てもそれ以上動けなかった。何度もやってはみたが、全然ダメだったため……一度火坑の顔を見ると、既に起きていたのか柔らかく微笑んでいた。
「……おはようございます」
「お……おはようございます」
お互い、客と店主の関係でいた時間が長かったせいで、未だに敬語が外せないし呼び捨てなど以ての外。
それに、猫人もだが人間に化けた整った顔を直視出来るわけがなく、縮こまっていると彼から美兎の額に口付けを贈られた。部屋に響くくらいの大きめのリップ音に、さらに恥ずかしくなって美兎は可愛いくないうめき声しか出せない。
それにも、火坑はくすくすと笑ってくれた。
「お雑煮の準備はほとんど出来ているんですよ? 食べますか??」
「食べ……ます」
なので、起きあがろうと言う事になったが……今度は唇に軽くキスされてしまい、美兎はしばらくベッドから動けなかった。
時間的に十分以上は、ベッドの上で座り込んでしまい。はっとした時には、リビングの方から美味しそうな白だしの香りがしてきた。なので、火坑にひと言断りを入れてから身支度を整え、出来上がった頃にはリビングの方も準備が出来ていたらしい。
美兎が持ってきた母と美兎手製のお節料理が、美しく陶器の皿に盛り付けられているのに加え、焼き餅で作ったお雑煮がこたつの方ではなくダイニングテーブルの上に並べられていた。
「新年あけましておめでとうございます、美兎さん」
「こちらこそ、あけましておめでとうございます。火坑さん」
着替えがあまり持って来れなかったので、パジャマ姿ではあるが。火坑も寝間着の和服だったのでそこはお互い気にしない。
むしろ、付き合いたてではあるのに自然な感じで心地良かった。
お節はともかく、お雑煮は冷めたらもったいないのでさっそく食べることにした。身支度の時にも香っていたように、澄まし仕立てのお雑煮。
紅白に見立てた、梅型のにんじんと大根も型抜きではなく、綺麗に飾り切りされていて、あと、愛知県らしく小松菜に鶏肉も入っていた。正月だと小松菜はもち菜、鶏肉は天ぷらで使うようにかしわと言うが。出汁もふんわりとした白だし仕立てでほっとするような味わい。
その塩気が、焼いた切り餅の甘味と抜群に合い、おかわりしたいくらいだった。
「ふふ。雑煮も餅もおかわりはまだありますよ?」
夢中になって食べていたのと、顔に出てたのか。
美兎は少し恥ずかしくなったが、お節もつまみながら『お願いします』と、空になったお椀を火坑に差し出した。
寝る時は、この前の泊まりも付き合う時もだったが、わざわざ火坑は人化……響也の姿になって寝てくれている。火坑が言うには毛まみれになるのが行けないのと、美兎を気遣ってくれているらしい。
それに、あやかしであれ動物に似た存在だからか、換毛期もあるようで……この時期は寝る時だと人化することが普通だそうだ。難儀な性質だなと思うしかない。そして、しっかり寝た後の朝。
てっきり、火坑は早く起きて朝食の支度をするかと思いきや、美兎と一緒に寝てくれていた。響也としての恋人の顔はイケメンを通り越して、美しく……どのパーツも非常に整っていた。
こんなにも素敵な人があやかしであれ、美兎の恋人だとは未だに信じられない部分がある。ずっと眺めていたいが、美兎は顔を洗いたくなってきたので、彼の腕からそっと抜け出す事にした……のだが。
(……あれ??)
緩んでいるはずの腕から抜け出そうとしたが、ガッチリと腰に腕を回されていたために、身じろぐことは出来てもそれ以上動けなかった。何度もやってはみたが、全然ダメだったため……一度火坑の顔を見ると、既に起きていたのか柔らかく微笑んでいた。
「……おはようございます」
「お……おはようございます」
お互い、客と店主の関係でいた時間が長かったせいで、未だに敬語が外せないし呼び捨てなど以ての外。
それに、猫人もだが人間に化けた整った顔を直視出来るわけがなく、縮こまっていると彼から美兎の額に口付けを贈られた。部屋に響くくらいの大きめのリップ音に、さらに恥ずかしくなって美兎は可愛いくないうめき声しか出せない。
それにも、火坑はくすくすと笑ってくれた。
「お雑煮の準備はほとんど出来ているんですよ? 食べますか??」
「食べ……ます」
なので、起きあがろうと言う事になったが……今度は唇に軽くキスされてしまい、美兎はしばらくベッドから動けなかった。
時間的に十分以上は、ベッドの上で座り込んでしまい。はっとした時には、リビングの方から美味しそうな白だしの香りがしてきた。なので、火坑にひと言断りを入れてから身支度を整え、出来上がった頃にはリビングの方も準備が出来ていたらしい。
美兎が持ってきた母と美兎手製のお節料理が、美しく陶器の皿に盛り付けられているのに加え、焼き餅で作ったお雑煮がこたつの方ではなくダイニングテーブルの上に並べられていた。
「新年あけましておめでとうございます、美兎さん」
「こちらこそ、あけましておめでとうございます。火坑さん」
着替えがあまり持って来れなかったので、パジャマ姿ではあるが。火坑も寝間着の和服だったのでそこはお互い気にしない。
むしろ、付き合いたてではあるのに自然な感じで心地良かった。
お節はともかく、お雑煮は冷めたらもったいないのでさっそく食べることにした。身支度の時にも香っていたように、澄まし仕立てのお雑煮。
紅白に見立てた、梅型のにんじんと大根も型抜きではなく、綺麗に飾り切りされていて、あと、愛知県らしく小松菜に鶏肉も入っていた。正月だと小松菜はもち菜、鶏肉は天ぷらで使うようにかしわと言うが。出汁もふんわりとした白だし仕立てでほっとするような味わい。
その塩気が、焼いた切り餅の甘味と抜群に合い、おかわりしたいくらいだった。
「ふふ。雑煮も餅もおかわりはまだありますよ?」
夢中になって食べていたのと、顔に出てたのか。
美兎は少し恥ずかしくなったが、お節もつまみながら『お願いします』と、空になったお椀を火坑に差し出した。
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