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座敷童子 弐
第4話 界隈に連れて
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そして、翌日の日曜日。
海峰斗とはLIMEのIDを交換し合っているので、待ち合わせ場所は界隈の入り口近くのコンビニにした。コンビニと言っても、ビジネスホテルの一階にあるので、どことなくおしゃれだが……このホテルはビジネスクラスでも比較的安価なので、レストランとかはない。
待っている間もまたナンパなりキャッチなりされたが、海峰斗が来ると人間の男達は去って行った。海峰斗自身が少し怒っているような雰囲気もあったからだが。
「あら、湖沼さん?」
「榊さん、お待たせ。……遅れてごめんね?」
「どうして? 別に大して遅れていないわよ?」
「けど、あいつら……とか、嫌だったでしょう?」
「ふふ。もう慣れた……って言い方は良くないけど。栄とか名駅とか行くと毎回だから」
「……けど。次は遅れない」
「ありがとう」
店の外に出れば、海峰斗は真穂にあまり敬語を使わない。最初の時に、人化の年齢を彼に合わせて『二十六歳』としたからだ。だから、最近も店では敬語を外しがちでもいる。と言っても、会話はほとんどLIMEでこうやって集まったのは実は初めて。
だから、ナンパされていた真穂を見て気遣ってくれたのだろう。少なからず、想っている相手の気配りに真穂はときめかないわけがない。
だが、この関係もある意味今日終わりかもしれないのだ。
海峰斗には……知って欲しかったのだ。真穂が人間ではない事。彼の妹である美兎が人間じゃない存在と交際するようになった事を。真穂のわがままでしかないが、真穂もこの微妙な友人関係とも違う接し方から脱出したかった。
希望的観測でしかないが、海峰斗も真穂を……などと。そう思うと知って欲しかったのだ。だから、彼には付いてくるようにとだけ告げて、真穂は界隈に足を向けて行く。
「え? どこに??」
「湖沼さんには……いいえ、ミホには驚くだけで済まないと思うわ」
「え、その呼び方……?」
海峰斗の手を掴んで、界隈の入り口を通る。
そして、同時に真穂も本来の座敷童子へと姿を戻して行く。海峰斗と本当に出会った当時の、子供の姿と同じくらいに。
いきなり、真穂の姿が小さくなった事と目の前の光景に、彼は当然驚いてぽかーんと口を開けた。真穂と前を交互に見て……嫌われたらどうしようと不安になったが、海峰斗はどちらでもない表情になっていく。
「……?」
「え、嘘。マジ!? これ何!? ファンタジー? 妖怪?? なにこれ!? 榊さんもいきなりちっちゃくなったし!!」
「怖く……ないの?」
「え、怖い?」
真穂が恐る恐る聞くと、海峰斗は首を強く横に振った。
「だって……真穂も人間じゃないのに?」
「え、まあ。びっくりしたけど…………その見た目が本当の?」
「え、ええ?」
「…………榊さんが、『まほちゃん』??」
「!? 覚えて?」
「だって、最初から髪以外に気になっていたし」
「……えぇ~~~~!?」
まさかそこまで気づかれていると思わず、いくら真穂でも目を丸くしてしまった。
海峰斗とはLIMEのIDを交換し合っているので、待ち合わせ場所は界隈の入り口近くのコンビニにした。コンビニと言っても、ビジネスホテルの一階にあるので、どことなくおしゃれだが……このホテルはビジネスクラスでも比較的安価なので、レストランとかはない。
待っている間もまたナンパなりキャッチなりされたが、海峰斗が来ると人間の男達は去って行った。海峰斗自身が少し怒っているような雰囲気もあったからだが。
「あら、湖沼さん?」
「榊さん、お待たせ。……遅れてごめんね?」
「どうして? 別に大して遅れていないわよ?」
「けど、あいつら……とか、嫌だったでしょう?」
「ふふ。もう慣れた……って言い方は良くないけど。栄とか名駅とか行くと毎回だから」
「……けど。次は遅れない」
「ありがとう」
店の外に出れば、海峰斗は真穂にあまり敬語を使わない。最初の時に、人化の年齢を彼に合わせて『二十六歳』としたからだ。だから、最近も店では敬語を外しがちでもいる。と言っても、会話はほとんどLIMEでこうやって集まったのは実は初めて。
だから、ナンパされていた真穂を見て気遣ってくれたのだろう。少なからず、想っている相手の気配りに真穂はときめかないわけがない。
だが、この関係もある意味今日終わりかもしれないのだ。
海峰斗には……知って欲しかったのだ。真穂が人間ではない事。彼の妹である美兎が人間じゃない存在と交際するようになった事を。真穂のわがままでしかないが、真穂もこの微妙な友人関係とも違う接し方から脱出したかった。
希望的観測でしかないが、海峰斗も真穂を……などと。そう思うと知って欲しかったのだ。だから、彼には付いてくるようにとだけ告げて、真穂は界隈に足を向けて行く。
「え? どこに??」
「湖沼さんには……いいえ、ミホには驚くだけで済まないと思うわ」
「え、その呼び方……?」
海峰斗の手を掴んで、界隈の入り口を通る。
そして、同時に真穂も本来の座敷童子へと姿を戻して行く。海峰斗と本当に出会った当時の、子供の姿と同じくらいに。
いきなり、真穂の姿が小さくなった事と目の前の光景に、彼は当然驚いてぽかーんと口を開けた。真穂と前を交互に見て……嫌われたらどうしようと不安になったが、海峰斗はどちらでもない表情になっていく。
「……?」
「え、嘘。マジ!? これ何!? ファンタジー? 妖怪?? なにこれ!? 榊さんもいきなりちっちゃくなったし!!」
「怖く……ないの?」
「え、怖い?」
真穂が恐る恐る聞くと、海峰斗は首を強く横に振った。
「だって……真穂も人間じゃないのに?」
「え、まあ。びっくりしたけど…………その見た目が本当の?」
「え、ええ?」
「…………榊さんが、『まほちゃん』??」
「!? 覚えて?」
「だって、最初から髪以外に気になっていたし」
「……えぇ~~~~!?」
まさかそこまで気づかれていると思わず、いくら真穂でも目を丸くしてしまった。
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