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猫人
第4話『とろとろホットチョコ』
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サンタクロースからのプレゼントがアクセサリー。
それは、別段不思議ではないが何故、この組み合わせなのだろうか、と。美兎は不思議に思えたのだ。まるで、火坑と恋人同士になるのがわかっていたプレゼントだったのだ。男ものと女ものの、ひと組の指輪。それにチェーンが通されているのだが、何故これなのか。
美兎は、少しの間。プレゼントを見つめながらぽかーんとしてしまっていた。
「どうされました?」
火坑が戻ってくると、コーヒーではなくホットチョコを淹れてくれたようだ。小さめのマシュマロが浮かんでいた。
「プレゼントの中身が見れたんですけど」
「けど?」
「不思議なんです。男女用のペアリングにチェーンが……」
「ふむ。御大のお考えですしね?」
ホットチョコをこたつの上に置いてから、美兎にプレゼントに触れていいか聞いてくると、美兎は迷うことなく彼にプレゼントの箱を差し出した。火坑はあちこち見ることなく、一点集中するかのように中身を凝視するだけだった。
そして、数分後。火坑はそのプレゼントをこたつの上に置き、美兎に素敵過ぎる笑顔を向けてきた。人間に変身した素晴らしいくらいなイケメンの笑顔に、美兎は鼻血を吹き出しそうになった。
「え……あの……?」
「いえ、心配なされることはありません。おそらく……御大にも僕らの気持ちはバレバレだったのでしょう?」
「サンタ……さんにですか?」
「ええ。美兎さんの会社の清掃員さんに化けていたお話は聞いています」
「…………三田さんが、ですよね?」
「そのようなお名前で……しかし、わかりやすいですね?」
「え?」
「読み方を変えてみてください?」
「読み方……みた……三つの田んぼ……あ」
実に単純な言葉遊びでしかない。
しかし、人間に化けている時はあのふくよかな体型とは真逆で細い感じだ。本人の好みかもしれないが、下手すると美兎よりも背の低い体型なのに……好みは人それぞれ、あやかしそれぞれ。そして神様それぞれかもしれない。
「ふふ。今の生活を気に入られているようですから……次にお会いした時にでも聞いてみたらいいですよ?」
「いきなり、サンタさんって聞いて大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思います。さ、冷めないうちにホットチョコでも」
「……いただきます」
深夜に甘いものなどと思う部分はあるが、今日くらい良いだろう。マグカップを手に取り、ゆっくりとホットチョコを口に含んでみる。思ったよりもビターな仕上がりで、マシュマロの部分がふわふわしていて柔らかく適度な甘さを舌に伝えてくれた。
下手に甘い、コーヒーショップのホットチョコよりも断然に飲みやすかった。
「いかがでしょう?」
「美味しいです」
「それはよかった。さて、美兎さん……提案なんですが」
「はい?」
「せっかくですし、付け合いっこしませんか? このリング」
「え?」
いきなりとは言え、サンタクロースからもらったプレゼントを身につけ合うだなんて。元彼の拓哉の時はアクセサリーにまるで興味を持たなかったのに、全然違う相手である火坑は積極的だ。もちろん、嫌ではないので強く首を縦に振った。
「では早速」
お互いにマグカップを置いてから……何故か火坑はリングを手に取るとチェーンの部分を外した。てっきり、首につけるものだと思っていたのに、指に嵌め合うつもりのようだ。少し恥ずかしいが、嬉しくないわけではなく。
美兎も、火坑サイズのリングのチェーンを外した。
それは、別段不思議ではないが何故、この組み合わせなのだろうか、と。美兎は不思議に思えたのだ。まるで、火坑と恋人同士になるのがわかっていたプレゼントだったのだ。男ものと女ものの、ひと組の指輪。それにチェーンが通されているのだが、何故これなのか。
美兎は、少しの間。プレゼントを見つめながらぽかーんとしてしまっていた。
「どうされました?」
火坑が戻ってくると、コーヒーではなくホットチョコを淹れてくれたようだ。小さめのマシュマロが浮かんでいた。
「プレゼントの中身が見れたんですけど」
「けど?」
「不思議なんです。男女用のペアリングにチェーンが……」
「ふむ。御大のお考えですしね?」
ホットチョコをこたつの上に置いてから、美兎にプレゼントに触れていいか聞いてくると、美兎は迷うことなく彼にプレゼントの箱を差し出した。火坑はあちこち見ることなく、一点集中するかのように中身を凝視するだけだった。
そして、数分後。火坑はそのプレゼントをこたつの上に置き、美兎に素敵過ぎる笑顔を向けてきた。人間に変身した素晴らしいくらいなイケメンの笑顔に、美兎は鼻血を吹き出しそうになった。
「え……あの……?」
「いえ、心配なされることはありません。おそらく……御大にも僕らの気持ちはバレバレだったのでしょう?」
「サンタ……さんにですか?」
「ええ。美兎さんの会社の清掃員さんに化けていたお話は聞いています」
「…………三田さんが、ですよね?」
「そのようなお名前で……しかし、わかりやすいですね?」
「え?」
「読み方を変えてみてください?」
「読み方……みた……三つの田んぼ……あ」
実に単純な言葉遊びでしかない。
しかし、人間に化けている時はあのふくよかな体型とは真逆で細い感じだ。本人の好みかもしれないが、下手すると美兎よりも背の低い体型なのに……好みは人それぞれ、あやかしそれぞれ。そして神様それぞれかもしれない。
「ふふ。今の生活を気に入られているようですから……次にお会いした時にでも聞いてみたらいいですよ?」
「いきなり、サンタさんって聞いて大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だと思います。さ、冷めないうちにホットチョコでも」
「……いただきます」
深夜に甘いものなどと思う部分はあるが、今日くらい良いだろう。マグカップを手に取り、ゆっくりとホットチョコを口に含んでみる。思ったよりもビターな仕上がりで、マシュマロの部分がふわふわしていて柔らかく適度な甘さを舌に伝えてくれた。
下手に甘い、コーヒーショップのホットチョコよりも断然に飲みやすかった。
「いかがでしょう?」
「美味しいです」
「それはよかった。さて、美兎さん……提案なんですが」
「はい?」
「せっかくですし、付け合いっこしませんか? このリング」
「え?」
いきなりとは言え、サンタクロースからもらったプレゼントを身につけ合うだなんて。元彼の拓哉の時はアクセサリーにまるで興味を持たなかったのに、全然違う相手である火坑は積極的だ。もちろん、嫌ではないので強く首を縦に振った。
「では早速」
お互いにマグカップを置いてから……何故か火坑はリングを手に取るとチェーンの部分を外した。てっきり、首につけるものだと思っていたのに、指に嵌め合うつもりのようだ。少し恥ずかしいが、嬉しくないわけではなく。
美兎も、火坑サイズのリングのチェーンを外した。
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