【完結】道真様は異世界に飛んでも満喫〜ご祭神の転生スローライフはワックワクドッキドキ!!〜

櫛田こころ

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第81話 天神様と怒り①

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 かなり飛んでいるけれど……トビトの『闇霧』のお陰で、下から騒ぐ声などは聞こえてこなかった。

 概ね、忍べているのだろうね?


(……大丈夫、のようだね)


 世界樹からの加護かもしれないし、違うかもしれない。

 どちらにしても、聖樹石を得るためであれば……使える手段を使わないわけにはいかない。

 私達は、リーフィア城に真っ直ぐと向かい……門を越えても、下で衛士とかが叫ぶ様子もないので……さらに、離宮へと向かう。

 場所は昨日来たばかりで覚えていないわけではないが……あの大きな建物だと言う目印があるし、飛翔しているから道を正しく使う必要がない。

 途中、ヒトにはすれ違ったが……誰も私達を気にしない。やはり……トビトの魔法が効力を発揮していると言うことだ。私には、おそらく出来ないだろう。


(……適材適所とも言う。私にも出来ることがあるのなら、それはそれだ)


 今は、聖樹石を手に入れなければ。

 フェアリーとやらが障害であるようだから……何とか突破せねば。

 この美しい城の中で、戦闘は出来れば避けたいが……そうは言っていられないだろうね?

 これも……試練とやらかもしれないから。


『い……し! 近い!!』


 離宮にあと少しと言うところで、フータがいつも通りに石の気配を探れたようだ。


「やっぱり、あの離宮?」

『う……ん!』

「……ふぇありーとやらは?」

『……た、くさん』

「穏便に、石を渡して欲しいけど」


 トビトが受けた邪気のこともある。

 これまでの二つのように……簡単にはいかないだろう。

 私は受けなかったが、邪気を当てさせてまで……こちらを邪魔だと理解しているのなら。

 やはり……元怨霊、元天神としては。

 少々……愚か者には、お仕置きをしようじゃないか?

 どのように、は……彼らを見てからじゃないとわからないが。

 私は少々……いや、だいぶ、見たことがない彼らに……怒りを覚えているよ。

 それが顔に出ているのか、フータもだがトビトも少し私から離れていた。


『マスター?』

「……どうなされた?」

「ふふ。ちょっとだけ怒っているんだ」


 ああ……かつての親王への怒りも、かくなるものだったか。

 負の感情が、内側から溢れ出てくるよ。

 ひとまず……怒りを抑えようとは試みたが、なかなかに難しく。

 離宮に近づくにつれ……私の内側は熱いくらいの感情の渦が荒れていくのだった。
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