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第72話 天神様と見学③

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 テラスで少しばかり休憩をした後は……職員が一人増えて、行き先を選ぶことが出来るらしい。


「離宮手前は、私。訓練所など、臣下方の普段の生活場所をご覧になりたい場合は、こちらの職員の方に」


 選択肢が増えてしまったが……離宮とやらは、王族が普段生活をする場所のようだ。平安で言うところの……御所とかと似た感じだろうね?

 とくれば、離宮を選ぼう。

 聖樹石は……まだ二つしか手にしていないが、かなり『大事な場所』に存在している場合があると見た。

 もちろん、その仮説が正しいと自信があるわけではないが……普段近づき難い場所の方が良いと思ったからね?

 トビトの様子も見つつ……女性職員の方に着いて行くことにしたよ。


「無理はしないでね? トビト」

「……はい」


 しかし、体力だけは私以上にあるはずのトビトなのに……これは、何かがあるかもしれない。

 元人間、元神であった私には大きく影響がないにしても……トビトはもともと木の精霊だ。

 何かに強く反応して……体力を削られているかもしれない。聖樹石がこの城内にあるとしたら……また試練か何かか?

 今は他の人間達もいるというのに……大胆ではあるが、石には関係がないだろう。


(……試練。とやらは、石の意識体が勝手にやっているようだが)


 世界樹は、『困難』な場所にあることが多いとは言っていたが……試練の方は特に告げてこなかった。

 であれば……石自体が、勝手に行っているということか。

 何故、その必要があるのか……こちらの神により、転生させられた私には、真意を窺うことは出来ぬが。

 世界樹自体が動けない今……代わりの者が必要なら、致し方ない。

 それに……私も、あの社での生活には、少々飽きを覚えていた。

 そこから掬い上げられたのなら……多少の不便も、文句は言うまい。


「はーい。あそこが、王族が住まわれている『離宮』です!」


 考えながら歩いていたら、もう目的地に到着したらしい。

 御所のような場所かと、勝手に思ってはいたが。

 比べられないほどの……巨大な建物に、浅はかな考えが覆られてしまったよ。

 大きさだけなら……日本のビルにあるような三階か四階建てだろうか?


『お……き!』

「……うん。大きいね」


 異世界とやらは、色々日本と違うところが多いが。

 どれも新鮮な印象を受け、さらに心踊るものばかりだ。


「……大き過ぎますな」


 トビトは多少楽になってはいるようだが、まだ顔色は優れなかった。


「……大丈夫?」

「……いくらかは。しかし……石の気配は感じませぬな」

「僕はよくわかんないけど。……フータは?」

『わ……か、な』


 どうやら、石はこの辺にもないようだ。
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