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第36話 天神様と出立
しおりを挟む「……本当に、行くんかい?」
諸々の準備が整ったこともあり……私達はエディトに伝えることにしたよ。
私達三人が……『魔の森』へと出向くこと。
そして……シトゥリとは一旦別れを告げることを。
「……はい。目的のモノがあるんです。その情報を掴んだので……行こうと思います」
しっかり、彼女の目を見て答えたが……エディトは私を探る眼差しを寄越してきた。当然も当然だろう……駆け出しの新人が、危険区域に行くと宣言するのは……端から見えれば、無謀な人材でしかない。
しかし……私達は言えない。
世界樹と言う存在に頼まれ、世界各地の『聖樹石』と言う力の源である石を……世界樹本人に送らねばならない使命を持っていることを。
言ったとしても……多分信じるかわからないだろう。もしくは、必要以上に追及されるかもしれない。後者は色々面倒だから……言わない方がいいだろうが。
「……決意は固いようだねぇ?」
「こればっかりは」
私やトビトが転生させられてまで……成さねばならぬ使命だ。
元の日本に帰してくれるかは……おそらくないだろうから、こちらでの使命をきちんとこなしたい。
少なくとも……今の生活を、私はそれなりに気に入っているからね?
「……そうかい。期待の新人が離れてしまうのは、ちょいとばかり寂しいが。あんたらがきちんと決めたことなら……アタシもとやかく言わないよ。けど、新人のレッテルはしばらく外れない……そこは、討伐などをこなして実力はつけるんだよ?」
「……はい」
それだけ……恐ろしい場所なのだろう。
エディトがこれだけ釘を刺すように言うのだから……私は肝に銘じておくことにした。
あとは、見送りの言葉を貰い受け……受付のミィのところにも寄ったのだが。
「ミザネさん達が旅立られるだなんてぇ!!」
と、狼耳の男性に宥められながらも、私達に見送りの言葉をくれたよ。
彼女には随分と世話になったが、私達と仕事が出来ないのを少なからず悲しんでくれるのは……いくらか、嬉しかった。それだけ、私達を信頼してくれたと言うことだ。
「……また、機会があれば寄りますので」
「……そうであるな」
『う……ん!』
「絶対ですよ!? 言質取りました!!」
「あはは……」
朝早くから出向いたので……すぐに出立することにした。
魔の森に行くには……徒歩だと、ひと月くらいかかるとの情報だが。
防具、武具、さらに精霊である私達は……ここ最近の討伐依頼をこなすことで気づけたのだ。
『飛翔』が可能であることを。
(……跳躍した後とかに、気づいたのだよね?)
小鬼などの攻撃を避けた時に……まあ、跳んだら浮いてたわけで。
そこから色々試したら……私もだが、トビトやフータも飛べることに気づいたのだ。なら……と人目がない場所で使うことを決めた。
それまでは……普通の冒険者と同じように徒歩で移動するがね?
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