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第二部拾伍 怜の場合⑧
第2話 奮発するプレゼント②
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雑貨屋も色々検索してみたが、これと言うものは見つからなかった。
まったくなかったわけではない。
裕司のイメージに合うようなものも、もちろんあった。あったのだが。
いかんせん、革製品。
ピンキリがあり、ピンについては予算オーバーとなるものばかりだったのだ。
「うぉお……」
裕司になるべく知られないように、こっそり探している怜だが。今日も今日とて見つからず。
せめて、もう少しお安めのキーケースにしようかと思っていると……愚弟らからのLIMEが届いたのだ。裕司の双子の兄で、秀司から頼んでいたアクセサリーが届いたと自慢するメッセージだった。
普段なら、絶対羨ましいなどとネチネチしたメッセージを返すところだったが。
「秀司君!!」
その方法があった、と。怜はすぐに秀司にLIMEのメッセージを送った。
『オッケーオッケー。あいつの好みはわかってるから任せて。刻印のスペルだけは決めて?』
メアリーも含めるグループメッセージだと裕司も見れてしまうので、メアリーには個別でメッセージを送っておくと。
『遠慮なく使ってやって! 裕司君絶対喜ぶから!!』
彼女の許可もいただけたので、ここはありがたく身内の特権を利用することになり。
刻印が出来上がってから、一度見に来てほしいとメアリーと一緒に秀司の自宅を訪れることになった。
「やー。芽依らには悔しいけど、感謝だよ」
「いいことじゃない?」
秀司の部屋の前に着くと、メアリーは彼女なので合鍵ですぐに玄関を開けた。一応インターフォンは鳴らしたが、秀司が出てこないので作業に明け暮れているのだろうと彼女が言ったからだ。
「お邪魔しまーす」
「どーぞどーぞ」
一人暮らしらしいが、裕司の前の部屋よりはいくらか広い。
アクセサリーデザイナーとして、一応独立しているそうだが稼ぎがどうとかは聞いたことがない。
将来の義兄候補とは言え、交流についてはメアリーと会う機会でやっと接点が出来ただけだ。以降は、ダブルデート以外だとLIMEでのやり取りがほとんど。裕司もだが、怜も社会人だから。
「おー、いらっしゃい」
メアリーがリビングではなく、手前の部屋のドアを開けると中では秀司が作業をしていたようだ。少し無精髭が生えていたと言うことは、作業に熱中していたのだろう。
「こんにちはー。目処がついたって聞いたけど」
「そ。今刻印打ち終わったとこだから見てよ」
中に入っていい許可を得てから入れば……まるで、学校とかの工作室の雰囲気だった。
作業台はシルバーと黒で統一されていて、秀司が持ってきた黒い革らしき素材のキーケースには。
「おお……!」
『Y.K』とシンプルに金の文字で、しかもかっこいい書体で刻まれていたのだった。
「あら、いい出来ね?」
「まだこれ練習台。本番はこっち」
これでも素晴らしいのに、練習とは思えなかった。そして、秀司が本番用にと収納用のケースから取り出したのは……黒は同じだが、さらに艶やかに革が磨いてある逸品だった。
まったくなかったわけではない。
裕司のイメージに合うようなものも、もちろんあった。あったのだが。
いかんせん、革製品。
ピンキリがあり、ピンについては予算オーバーとなるものばかりだったのだ。
「うぉお……」
裕司になるべく知られないように、こっそり探している怜だが。今日も今日とて見つからず。
せめて、もう少しお安めのキーケースにしようかと思っていると……愚弟らからのLIMEが届いたのだ。裕司の双子の兄で、秀司から頼んでいたアクセサリーが届いたと自慢するメッセージだった。
普段なら、絶対羨ましいなどとネチネチしたメッセージを返すところだったが。
「秀司君!!」
その方法があった、と。怜はすぐに秀司にLIMEのメッセージを送った。
『オッケーオッケー。あいつの好みはわかってるから任せて。刻印のスペルだけは決めて?』
メアリーも含めるグループメッセージだと裕司も見れてしまうので、メアリーには個別でメッセージを送っておくと。
『遠慮なく使ってやって! 裕司君絶対喜ぶから!!』
彼女の許可もいただけたので、ここはありがたく身内の特権を利用することになり。
刻印が出来上がってから、一度見に来てほしいとメアリーと一緒に秀司の自宅を訪れることになった。
「やー。芽依らには悔しいけど、感謝だよ」
「いいことじゃない?」
秀司の部屋の前に着くと、メアリーは彼女なので合鍵ですぐに玄関を開けた。一応インターフォンは鳴らしたが、秀司が出てこないので作業に明け暮れているのだろうと彼女が言ったからだ。
「お邪魔しまーす」
「どーぞどーぞ」
一人暮らしらしいが、裕司の前の部屋よりはいくらか広い。
アクセサリーデザイナーとして、一応独立しているそうだが稼ぎがどうとかは聞いたことがない。
将来の義兄候補とは言え、交流についてはメアリーと会う機会でやっと接点が出来ただけだ。以降は、ダブルデート以外だとLIMEでのやり取りがほとんど。裕司もだが、怜も社会人だから。
「おー、いらっしゃい」
メアリーがリビングではなく、手前の部屋のドアを開けると中では秀司が作業をしていたようだ。少し無精髭が生えていたと言うことは、作業に熱中していたのだろう。
「こんにちはー。目処がついたって聞いたけど」
「そ。今刻印打ち終わったとこだから見てよ」
中に入っていい許可を得てから入れば……まるで、学校とかの工作室の雰囲気だった。
作業台はシルバーと黒で統一されていて、秀司が持ってきた黒い革らしき素材のキーケースには。
「おお……!」
『Y.K』とシンプルに金の文字で、しかもかっこいい書体で刻まれていたのだった。
「あら、いい出来ね?」
「まだこれ練習台。本番はこっち」
これでも素晴らしいのに、練習とは思えなかった。そして、秀司が本番用にと収納用のケースから取り出したのは……黒は同じだが、さらに艶やかに革が磨いてある逸品だった。
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