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第二部肆 裕司の場合②

第1話 兄の彼女①

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 なんだかんだで、予定が延長になった……小森こもり兄弟の彼女達の顔合わせ。ついでに、その妹の不満を安心させるためでもあったが……裕司ゆうじは、双子の兄である秀司しゅうじの彼女と会うのはこれが初めてだったので……第一印象が『驚き』で済まなかった。


「初めまして。碓氷うすいメアリーです」


 金髪碧眼。

 と言う言葉が似合うくらい……染めていない自然な金髪に碧い瞳はカラコンではない。肌も日本人とは違って、黄色っぽくもなく透き通っているような感じだ。

 苗字は日本名だが、名前から推測するに。


「お姉さんは、ハーフなんですか!?」


 質問を投げかけたのは、今日のメインである真衣香まいかだった。いきなりの不躾な質問にも、メアリーはにっこり微笑んだ。


「ええ。高校まではフランスだったけど、家だと日本語だったからこの通り」

「え、え! 何カ国しゃべれるんですか!?」

「日本語入れたら……ヒヤリングだけも入れると四つかしら?」

「わぁ!!」


 それは素直に凄いと思っていると、れいが震えているのが隣にいる裕司にもわかった。おそらく、自分が劣っていると思っているのかもしれない。


「怜やん?」

「……凄過ぎて」

「大丈夫。怜やんは怜やん」

「……うん」


 軽く頭を撫でてやっていると、視線がこちらに注目を集めているのがわかった。メアリーもだが、真衣香や秀司もこっちを見ていたのだ。


「ゆーにーちゃん、ラブラブ!」

「ええ。とっても」

「めっちゃ、大事にしてんな?」

「あら、シュー? 私には?」

「これでもかと大事にしてるけど?」

「んもぉ」


 ハイスペックのように見えて、意外と子供っぽい一面もある。秀司の好みをよくわかっていなかったが、こう言うタイプが……と少し納得したのだった。


「ね、ね! おにーちゃん達は、お姉さん達と結婚の約束してるの!?」

「ま、真衣香ちゃん!?」

「シューと?」


 そして、我が妹は直球過ぎな質問を怜達に投げかけた。怜は慌てていたが、メアリーは意外と落ち着いている。


「この前からこうなんだよ。俺とメアリーはまだ無理だけど、裕司らはどうなんだ?」

「私の勉強があるから無理だものね?」

「「勉強??」」

「メアリーはK大学院の薬学系の研究生だから」

「「け、K大!!?」」


 秀司は違う大学だったが、本当にどこで知り合ったのだろうか。

 馴れ初めを聞きたいところだが、真衣香にも以前話したように。怜との結婚については資金面が安定していないので、『まだ』と彼らの前でも言うことにした。


「なるほど。たしかに……専門卒とまだ半年の大卒じゃ、すぐに結婚は難しいわ」

「そうなの? メアリーお姉ちゃん?」

「大人にも、色々事情があるのよ?」

「……赤ちゃん、早く見たい」

「あらあら」


 真衣香としては、義姉らの着飾った姿もだが将来の姪か甥の顔を早く見たいようだった。
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