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茶釜④
第40話 話し相手
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それからのアタシことポットと言えば。
ミディアちゃんのお家にお世話になる(?)以外は、茶釜としておじいちゃん神様へのお茶を点てる道具として役に立ってはいる。
基本的に動けないから……お家の中では、ミディアちゃんの目の届く範囲に置いてもらってるわ。
つまり。
『は~~……綺麗ねぇ』
ミディアちゃんの本職(?)である、着物の仕立て人のお仕事を覗いているわけ。
地味っぽいのから、刺繍が豊かなもんまで……色とりどりの布が床に敷き詰められている光景は、圧巻よ!
「注文が月にまとめて入ってくるんよ。ひとりやし、ちゃっちゃかやらんと」
『……こう言うのって、分担作業とかないわけ?』
「ここいらではないなあ。出来んのも、うちの家系くらいやし。あ、オカンらは他所の里や人里とかに行ったりしてんねん」
『……なーる』
ってことは、ミディアちゃんが唯一の職人ってわけね?
おじいちゃん神様んとこに着ていくのも? って聞けば、頷いてくれたわ。
「季節ごとに仕立て直すけど、まあオカンらのも借りるし……不自由はしとらんけど」
『とっても似合っているわよ』
「……おおきに」
ニコって笑顔が!!
美麗エルフだから!!
女に興味ないはずのアタシですら、まぶしく映るわ!!
は、いいとして……お礼言われるのは悪い気しないわ。
『アタシも手伝えたらいいけど、こんなナリだし』
動けない以上に手足も何もないけどね?
「ええよ。うちの話し相手してもらえるだけでも、充分嬉しいわ。ずっと誰とも話せれんのもしんどいし」
『……いつから、ひとり?』
「せやなあ? 神さんに茶を点てるようになってからやから……五年くらいか?」
『……そう』
エルフが超絶ご長寿様でも。
やっぱり、さみしいものはさみしいのね?
こんなナリだけど……役に立てられるのは嬉しいわ。
「……出来た」
『はや!?』
手はちゃっちゃか動かしているように見えたけど!?
もう着物ひとつ仕上げたわけ!?
見せてもらったら……浴衣のようなものだったわ。
「もうすぐ祭りあるんよ。ポットも眺めにいかん?」
祭り!?
異世界の祭り!?
『……行きたいけど、かさばらない?』
「そん時は、魔法で根付けにしたるわ」
『ねつけって?』
「着物の飾りやわ」
じゃ、普段の抱っこは気遣いね?
ちょっと……嬉しいじゃないのさ。
ミディアちゃんのお家にお世話になる(?)以外は、茶釜としておじいちゃん神様へのお茶を点てる道具として役に立ってはいる。
基本的に動けないから……お家の中では、ミディアちゃんの目の届く範囲に置いてもらってるわ。
つまり。
『は~~……綺麗ねぇ』
ミディアちゃんの本職(?)である、着物の仕立て人のお仕事を覗いているわけ。
地味っぽいのから、刺繍が豊かなもんまで……色とりどりの布が床に敷き詰められている光景は、圧巻よ!
「注文が月にまとめて入ってくるんよ。ひとりやし、ちゃっちゃかやらんと」
『……こう言うのって、分担作業とかないわけ?』
「ここいらではないなあ。出来んのも、うちの家系くらいやし。あ、オカンらは他所の里や人里とかに行ったりしてんねん」
『……なーる』
ってことは、ミディアちゃんが唯一の職人ってわけね?
おじいちゃん神様んとこに着ていくのも? って聞けば、頷いてくれたわ。
「季節ごとに仕立て直すけど、まあオカンらのも借りるし……不自由はしとらんけど」
『とっても似合っているわよ』
「……おおきに」
ニコって笑顔が!!
美麗エルフだから!!
女に興味ないはずのアタシですら、まぶしく映るわ!!
は、いいとして……お礼言われるのは悪い気しないわ。
『アタシも手伝えたらいいけど、こんなナリだし』
動けない以上に手足も何もないけどね?
「ええよ。うちの話し相手してもらえるだけでも、充分嬉しいわ。ずっと誰とも話せれんのもしんどいし」
『……いつから、ひとり?』
「せやなあ? 神さんに茶を点てるようになってからやから……五年くらいか?」
『……そう』
エルフが超絶ご長寿様でも。
やっぱり、さみしいものはさみしいのね?
こんなナリだけど……役に立てられるのは嬉しいわ。
「……出来た」
『はや!?』
手はちゃっちゃか動かしているように見えたけど!?
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見せてもらったら……浴衣のようなものだったわ。
「もうすぐ祭りあるんよ。ポットも眺めにいかん?」
祭り!?
異世界の祭り!?
『……行きたいけど、かさばらない?』
「そん時は、魔法で根付けにしたるわ」
『ねつけって?』
「着物の飾りやわ」
じゃ、普段の抱っこは気遣いね?
ちょっと……嬉しいじゃないのさ。
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