なんでアタシばっかり、『釜』に転生!?〜何度転生しても調理器具への転生〜

櫛田こころ

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パン釜

第4話 食べ方

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「わぁい!! 焼けた焼けたぁ!!」


 うさ耳獣人ちゃんが、ミトンをはめて型を取り出していたわ。

 ほかほか湯気が見える!!

 四角い型の上が盛り上がっているわ!!

 茶色いあれは……たしかに、パン!!

 パンだわ!

 焼きたて……食べたい!!

 腹は減ってないけど……見てて食欲湧くわよぉお!?


「冷まして~、なーにで食べようかなぁ? トースト? サンドイッチぃ? そのまま? 迷うなあー」


 なんですって? そのラインナップ!!

 アタシが、ガーンってなっている間に獣人ちゃんはどんどん用意をしていくわん!!

 トースト……厚切りがいいわね? 薄切りも悪くないけど……焼きたてなら厚い方が望ましいわ。たっぷりバターをのせて炙って。

 焼けたら、好きなジャムをたっぷり。アタシのオカンがちっちゃい頃はそんなのを贅沢に食べさせてくれたわ。


(サンドイッチなら……卵サラダが乙ね)


 ツナも悪くないわよ?

 けど……マヨネーズ系であれば、あの優しいふんわり食感がパンと合わさるとたまんない!!

 BARでは作り置きだったけど……ああ、ああ!!

 学生時代でまだ頭角を現していない頃は、パン屋でわざわざ買ったのを思い出すわ!!

 あのサンドイッチ……コンビニのより、数時間馴染ませたものの方が美味しいわよねん!!

 どっちにしても……今のアタシじゃ食べれないけどぉ!?


「うん! 今日はお客さんもいないし、こんくらいいいよね!!」


 とかなんとか、アタシがうだうだしてたら……獣人ちゃんの準備が出来たようね?

 どんな食べ方にするか……視界が意外と範囲広いんで、フォーカスするような感じにじーっと見つめていけば!


(な、なんですって!?)


 トーストでもサンドイッチでもない。

 一斤サイズの型から出した食パンを……半分くらいに裂いた間に。

 バターたっぷりと、ゴロゴロのいちごジャムたっぷり!?

 見た目はともかく……食べ方は豪快だけど、ゴージャスだわ!!


「んふふ~! いただきまーす!!」


 大口開けて食べようとしてるぅ!?

 アタシが釜でワーワー言っているのが、相変わらず聞こえないからって!!

 横暴よ!?

 目の暴力よん!!


(アタシもたーべーさーせーてぇ!?)


 って叫んでも、声は届かず。

 獣人ちゃんは幸せそうにパクパク食べ出して……アタシは、絶望を味わうしかなく。

 意識が……遠のいていったわ。
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