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7-2.ダイエット改善生活

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 ★・☆・★







 俺様の減量強化生活が始まって、今日で約半月。

 まず、俺様がすべき事は早朝から始まるのだった。



 カンカンカン

 カーンカンカンカン!



「マスター、お・き・て」

「う、うぅ~ん。もう少し」

「身体を元通りに?」

「したい! くぅううう、わかった起きる!!」


 まずは早朝一番にセリカがフライパンとレードル片手に無理やり起床させられ。

 まだ薄暗い庭に出て、一緒に準備運動と言うものをする。


「はい、きびきびと」

「うぬぬぬ。これしきのことぉおおお!!!!」


 と言いたいところだが、まだまだ肥えてしまっている今の俺様では準備運動すら、厳しい状態だった。

 わずかな時間、怪我の防止のためにきちんと運動するだけなのだが。これまた一回で酷い汗をかくほどで。

 本番の運動をしようにも、汗だくだと風邪を引くこともあるので、一度風呂に入るわけだが。


「さて。今日も綺麗に」

「するしかない。わかっている!」

「汗だくになったら、もう一回すること」

「う、うむ」


 次にすべきことは、朝から冷たい雑巾で床を磨くこと。

 膝をついてのんびりするのではなく、走り込みをするように低姿勢のまま端から端まで走りながら床を磨く!

 これが初回からしばらくは、ゆっくりした動きでしか出来なかったが、今では少しだけ走れるようになった。

 何せ、この運動だけでも既に15キロ痩せたのだからな!

 が、一回では終わらずに、汗だくになりながらやるのでまた清めてから拭き直ししなければならないが。

 拭く場所は、主に長い廊下ばかり。俺様専用のコースとなっているところ以外は、セリカの持ち分となっている。

 すべて俺様が担当すると汗のせいで二度手間になるからと、まずは少しずつ。

 そして今日も、二回床を磨いてから朝食となったが。

 この食生活も少し変わったのだった。


「はい、今日の分」

「うむむ。朝はライトにするとは言え、やはり少ないような……」

「痩せるためには、朝よりも昼に多く食べた方がいい」

「うぬぬぬ」


 メニューは、なんと。




 プレーンのヨーグルト。

 日替わりのフルーツもしくは、無糖のフルーツジュース。



 たったこれだけとなった。

 が、このお陰で便通もだいぶ改善されたのだ。

 週に一度だった便通が、週に三日となり。

 それだけで、前以上に体力を使うお陰か。

 体重もだが、セリカの言う脂肪などのエネルギーを消費しまくって。

 以前とは違い、たった半月で15キロも減量出来たのだ。

 まだまだ150キロあるわけだが、順調だとは思う。

 そして、セリカは組み込まれている異世界レシピにある、料理以外にも俺様のために無理のない減量生活を組み立ててくれている。

 感謝せねばならないが、この食事ではやる気が起きないのも無理はない。


「うむむ……肉、とまではいかないが、あの茶色いパンもダメか?」

「お昼まで我慢して」

「くぅう」


 もう半月もこのやり取りをしているのだが、セリカの辛辣な態度や言葉も相変わらず。

 むしろ、俺様が本気で痩せたいと思い立ってから……厳しい訓練教官のように表情も言動も辛辣度数が増してきている。

 たしかに、生半可な態度では、俺様を減量させられないと踏んだからだろうが。

 それにしても、厳しい……厳し過ぎる!

 けれど、成果は出ているので文句も言えず。

 少しずつ味わうようにして、朝食を食べてからは中休みも兼ねて、ポーション作り。

 実は、朝食の方が他よりも手間がかかっていて。

 砂糖を使わないヨーグルト作りや新鮮なフルーツやジュース。

 シャインで生成するのだが、材料がかなり必要なために、資金もそこそこ必要であり。

 セリカも時々手伝うが、俺様の出来る労働部分なので、たいていは俺様自らがポーションを作り。

 納品分以上に仕上げて、これまで以上に資金を稼いでいるわけだが。

 お陰で備蓄は潤う限りだ。


「よし、これだけあれば今回の納品分には事足りるだろう」


 そして、次の運動。

 以前召喚させた『ランニングマシーン』による、セリカ曰く有酸素運動。

 重いので、召喚室に定着させてあるが、俺様の体型では移動が不可能なのでそのままにしている。

 身軽な格好になってからマシーンの板の上に乗り、パネルと言う魔導具操作で稼働させて。

 ゆっくりゆっくりだが、外でのウォーキングと同様にポーズを決めて歩き。

 パネルで時間設定と言う操作をして、約一時間歩き続けて。

 終わったら、当然汗だくになるのでまた風呂に入り。

 綺麗に乾かしてから、リビングのソファで軽くうたた寝。

 この睡眠も実は効果的であり、脂肪を燃焼すると言うのだ。

 ただし、一時間だと寝過ぎなので、30分後にはセリカがフライパンで起こしにくるのだが。

 が、その後にお待ちかねの昼飯だ!


「お待たせ、今日は糖質ゼロ麺での焼うどん」

「待ってたぞ!」


 シャインで作った、糖質ゼロ麺という、セリカ曰く極限まで小麦粉を使っていない麺。

 それを、俺様が食べやすいように調理してくれるのだが。

 これまた美味いのだ!


「うむうむ! 甘辛いソースの味が病みつきになりそうだ! 野菜もたっぷりあるし、食べ応えがあるな!」

「醤油があると、もっと美味しいけど。しばらくはそれで我慢」

「ダイズ、という豆が必要なのか?」

「うん。あれがあれば、料理の幅が広がる。異世界で言うニホンというところのワショクが作れる」

「ほう。今度マールに聞いておくか」

「ん」


 にんじん、きのこ、ピーマンなどなど。

 様々な野菜が入れられているが、どれもちょうどよくお互いの味を主張し合い。

 麺は少し柔らかめだが、食べ応えがあって腹にもたまりやすい。

 それらすべてが、未知なる甘辛いソースの味付けで食べやすくなっているが。セリカ曰く、これもシャインで生成出来た異世界の食材らしい。

 相変わらず、食材ならば容易く生成出来るエーテル培養液だが、原因は定かではないのでひとまず稼働させたままにしてある。

 下手にいじったら、国法にそむく行為となるため迂闊にエーテル培養液をいじれないのだ。


(しかし……美味い、美味い!)



 今日も実に美味かったので、セリカにねぎらいの言葉をかけてから一緒に食器を洗って片付け。

 腹がこなれてから、次の運動だ。


「……マスター、もっと前に来て」

「こ、こ、これ以上、は」

「頑張って、私のとこまで手を伸ばして」

「ぬ、ぉおおおお!!!!」


 昼からの運動は、主にストレッチと呼ばれている準備運動から。

 床にゆったりとした布地のマットを敷き。

 一人でなく、二人で協力して俺様の身体を伸ばしたりしているのだが。

 これが厳しい以上に、非常に精神を試されるものであったのだ。

 セリカも動きやすいシャツとズボンになっているのだが。ふくよかな胸が強調されてるだけでなく、時々俺様の背や胸に当たってしまうので。

 鼓動が高鳴って仕様がないのだ!

 今も、くの字に座って、前に腕を伸ばすだけなのにセリカの胸に目が行ってしまう。

 俺様は変態になってしまったのだろうか!?


「頑張って。全部終わったら、アイス上げるから」

「ぬぉおおおおおお!!!!」


 セリカが俺様の意識を削ぐ言葉を言ってくれたお陰で邪な思いが多少削がれたので。

 頑張って、ストレッチに取り組んで、また汗だくになったので風呂に入り。

 今日も、風呂上がりの冷たいラズベリーヨーグルトアイスを食べてから軽くうたた寝。

 落ち着いてからは、今度は日光浴も兼ねて外でウォーキング。

 夜は完全に早寝をして、熟睡。

 この生活の繰り返しになったのだった。
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