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第201話 家の違い
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藍羅さんを客間に案内したのですが、彼女は畳の上に座るとピンと背筋を伸ばして正座をされたのです。
「……もっと気楽でいいんですよ?」
「い、いやいや!? こ、こんな立派なとこに来るの初めてだもん!!」
「……普通って違うんですか?」
「……翠羽ちゃんは、アパートとかマンション行ったことない?」
「んー。あまりないですね」
むーちゃんさんや琥珀さんのあのお屋敷も大きかったですし、これまで他の存在の住居区に行ったことはありません。
建物としての意味くらいはわかりますが、実際に住んだことはありませんので。
「……そっか。んじゃ、次はうちに来る? ここよりめちゃくちゃ狭いけど」
「いいんですか?」
お友達のお家に行くことなど、多分初めてです。この歳までなかったのは……両親が亡くなったこともあって、国綱さんと過ごす時間が多く……誘われても行く気になれませんでした。
ですが、今は違います。少しずつ、私も変わろうと決めたのですから。
「お待たせ」
団欒していると、国綱さんがお茶請けを持っていらしてくださいました。お盆には、多分緑茶と羊羹ですね。
ただ、国綱さんがいらっしゃると藍羅さんがまた緊張してしまいましたが。
「あ、ありがとうございます!」
「どういたしまして。翠羽、僕は夕飯の用意するけど……藍羅さんは嫌いなものとかアレルギーある?」
「藍羅さんは、玉ねぎがダメだそうです」
「そっか。獣人族だと食べられないところもあるしね」
じゃあ、と、卓にお盆を置いてから行ってしまわれました。てっきり、一緒に話すかと思ったのですが。
でも、国綱さんのお夕飯はすごく楽しみです!
「……はぁ。ほんと、翠羽ちゃんの彼氏さんかっこいいね」
まだ緊張がほぐれていないようですが、藍羅さんは国綱さんを褒めてくださいました。
「はい。自慢の、ですから」
だから私も、胸を張って答えました。
それから、お茶と栗羊羹で私が休学中だった頃の、高校のお話などで盛り上がり……藍羅さんの緊張も落ち着いていったのです。
「……もっと気楽でいいんですよ?」
「い、いやいや!? こ、こんな立派なとこに来るの初めてだもん!!」
「……普通って違うんですか?」
「……翠羽ちゃんは、アパートとかマンション行ったことない?」
「んー。あまりないですね」
むーちゃんさんや琥珀さんのあのお屋敷も大きかったですし、これまで他の存在の住居区に行ったことはありません。
建物としての意味くらいはわかりますが、実際に住んだことはありませんので。
「……そっか。んじゃ、次はうちに来る? ここよりめちゃくちゃ狭いけど」
「いいんですか?」
お友達のお家に行くことなど、多分初めてです。この歳までなかったのは……両親が亡くなったこともあって、国綱さんと過ごす時間が多く……誘われても行く気になれませんでした。
ですが、今は違います。少しずつ、私も変わろうと決めたのですから。
「お待たせ」
団欒していると、国綱さんがお茶請けを持っていらしてくださいました。お盆には、多分緑茶と羊羹ですね。
ただ、国綱さんがいらっしゃると藍羅さんがまた緊張してしまいましたが。
「あ、ありがとうございます!」
「どういたしまして。翠羽、僕は夕飯の用意するけど……藍羅さんは嫌いなものとかアレルギーある?」
「藍羅さんは、玉ねぎがダメだそうです」
「そっか。獣人族だと食べられないところもあるしね」
じゃあ、と、卓にお盆を置いてから行ってしまわれました。てっきり、一緒に話すかと思ったのですが。
でも、国綱さんのお夕飯はすごく楽しみです!
「……はぁ。ほんと、翠羽ちゃんの彼氏さんかっこいいね」
まだ緊張がほぐれていないようですが、藍羅さんは国綱さんを褒めてくださいました。
「はい。自慢の、ですから」
だから私も、胸を張って答えました。
それから、お茶と栗羊羹で私が休学中だった頃の、高校のお話などで盛り上がり……藍羅さんの緊張も落ち着いていったのです。
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