【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第197話 普通であるから

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 ご飯を食べてから、街中をのんびり散策して……ウィンドウショッピングだったり、今度は買い食いなどを……思い思いに『女の子』として過ごすことが出来ました。

 そして、私は思ったのです。


(……この日常を、守ることが出来て良かったです)


 あの魍魎もうりょうらが侵食した世界になっていたら……この日常は保つことは出来なかったはずです。

 学校生活はまだ再開出来ずとも……藍羅あいらさんと語らい、笑い合う時間は貴重です。

 その日常を、私は国綱くつなさん達と頑張って取り戻すことが出来たのですから。


「ねー、翠羽みはねちゃん」


 タピオカミルクティーという飲み物を楽しんでいた時です。藍羅さんから声をかけられました。


「はい?」

「……失礼なこと聞くけど。さっき、彼氏さんが保護者って言ってたでしょう?」

「……ええ」

「もしかして、親御さんはいないの?」

「……事故で、亡くしました」


 実際は魍魎らの手で殺されましたが……藍羅さんにその事を告げても、きっと信じられないでしょう。それに、お母さん達は表向きは事故死になっているので、間違ってはいません。


「そっかぁ。ごめん、辛いこと聞いちゃって」


 藍羅さんは猫耳をしゅんとさせました。それほど、勇気を出して聞いてくださったんですね。私は首を横に振りました。


「いいえ。随分と昔のことなので……国綱さんと過ごす時間の方が長かったんです」

「国綱さんっていうんだ?」

「はい。とても素敵な方です」

「……素で、さらっと惚気ちゃうのね」

「本当ですから」


 私なんかには……本当に勿体無いくらい、素敵で大好きな方ですもの。

 私も手にしていたタピオカミルクティーを飲みましたが、なかなかタピオカが吸えず、ぽっきゅんと数粒飲み込んだ時には盛大にむせてしまいました!?
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