【完結】見通すのは蘇芳の瞳〜その出会いは必然か偶然か?〜

櫛田こころ

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第196話 完食の特典

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「ごちそうさまでした」


 チャレンジメニューである海鮮丼は、きちんと食べ終えました。

 海鮮は新鮮でいつまでも食べていたいくらいに。ご飯も最後に出汁茶漬けにしたので、さらっといただくことができました。

 ただ、どうやら驚きのタイムなるものが出てしまったようです。


「じゅ、十五分以内ぃ!?」

「……翠羽みはねちゃん。すご」

「……そうでしょうか?」


 お腹としてはまだ余裕はありますが、さすがに恥ずかしい感情が出てきたので追加注文はやめておくことにしました。

 藍羅あいらさんは、自分の分を食べ始めましたが……私の食べっぷりを見たせいか、ゆっくりゆっくりでした。私は美味しくてつい食べ進めてしまっただけですが……驚かせてしまったようですね。以後、気をつけます。学食ランチは控えめにしていましたし。


「ほな。嬢ちゃんには特典として、これあげるわ」


 店長さん……イカの亜人である男性が、私に渡してくださったのは、一枚のカードです。手書きのカードをラミネート加工した……『割引券』でした。


「次回から、チャレンジメニュー半額?」

「今回は達成やもんで、タダやけど……次回から挑戦出来ん代わりにそういうのを渡してるんや」

「ありがとうございます!」


 そういうことでしたら、これは嬉しい特典です。チャレンジメニューは払えなくないですが……そこそこお高いですしね。


「はぁー、ごちそうさま。めっちゃ美味しかった! また来よ!」

「おおきに、嬢ちゃん」

「翠羽ちゃん、また誘っていーい?」


 ご飯を食べて落ち着かれた、藍羅さんの笑顔を見て……私もつい笑顔になりました。


「はい。是非」


 国綱くつなさん以外にも、関わる人を増やす恐怖はもう必要ありません。

 私も、存在として少しずつ『普通』になっていくのですから。
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