195 / 206
第194話 神将の見守り
しおりを挟む
『翠羽様はよく食べられる』。
それは、身体的にもだが『時蟲』の宿主だからだろう。
と、我が主の見解ではあるようですが。
たしかに……よく食事を召し上がれられますね。
(……日に日に増していらっしゃるような)
屋敷でもですが、ご自分で作られる量が増えていらっしゃいます。主もよく食べる方ですが、翠羽様も同等くらい。
お互い、異能の宿主であるからでしょうか?
主は我ら十二神将を使役する分、霊力は食事からでも必要としています。しかし、翠羽様はそうではありません。
「いただきます」
姿を見れぬようにしている我の目の前で……男でも食べるのが困難だと思われる、海鮮丼に箸を伸ばしていらっしゃいました。
友だという獣人の女子は普通の量を注文していたが、翠羽様が挑戦されるという品に驚きを隠せていないでいましたが。
「……翠羽ちゃん。そんなにも大丈夫?」
「大丈夫です。お腹ぺこぺこですので!」
「制限時間付きだけど、いけそう?」
「んー。咀嚼を考えますと、少し……店長さん。お金は払いますので、ゆっくり食べていいですか?」
「ほーう? お嬢さん食い切れるん?」
「食べられますねー」
のほほんとした会話ではありますが。
この方の苦難を考えれば、主が心配なされるくらいに穏やかな日常すぎます。
それを見守る手助けを我らが成せれば……翠羽様も『普通』の存在にはなれることでしょう。
主が望まれていたこと……幾らか過保護な箇所はあるけれど、それも致し方のない範囲です。あの悲惨な気持ちに駆られた主を、我らとて二度と見たくありません。
身体をバラバラにさせられ、記憶を失い。
我らの力及ばずな事態には……二度とあってはいけません。
ですから、ゆっくりでもたくさん召し上がっていらっしゃる翠羽様の許容量は……我とて驚きを隠せませんでした。どこに入っていかれるのでしょう……。
それは、身体的にもだが『時蟲』の宿主だからだろう。
と、我が主の見解ではあるようですが。
たしかに……よく食事を召し上がれられますね。
(……日に日に増していらっしゃるような)
屋敷でもですが、ご自分で作られる量が増えていらっしゃいます。主もよく食べる方ですが、翠羽様も同等くらい。
お互い、異能の宿主であるからでしょうか?
主は我ら十二神将を使役する分、霊力は食事からでも必要としています。しかし、翠羽様はそうではありません。
「いただきます」
姿を見れぬようにしている我の目の前で……男でも食べるのが困難だと思われる、海鮮丼に箸を伸ばしていらっしゃいました。
友だという獣人の女子は普通の量を注文していたが、翠羽様が挑戦されるという品に驚きを隠せていないでいましたが。
「……翠羽ちゃん。そんなにも大丈夫?」
「大丈夫です。お腹ぺこぺこですので!」
「制限時間付きだけど、いけそう?」
「んー。咀嚼を考えますと、少し……店長さん。お金は払いますので、ゆっくり食べていいですか?」
「ほーう? お嬢さん食い切れるん?」
「食べられますねー」
のほほんとした会話ではありますが。
この方の苦難を考えれば、主が心配なされるくらいに穏やかな日常すぎます。
それを見守る手助けを我らが成せれば……翠羽様も『普通』の存在にはなれることでしょう。
主が望まれていたこと……幾らか過保護な箇所はあるけれど、それも致し方のない範囲です。あの悲惨な気持ちに駆られた主を、我らとて二度と見たくありません。
身体をバラバラにさせられ、記憶を失い。
我らの力及ばずな事態には……二度とあってはいけません。
ですから、ゆっくりでもたくさん召し上がっていらっしゃる翠羽様の許容量は……我とて驚きを隠せませんでした。どこに入っていかれるのでしょう……。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】もしも願いが叶うならあの時の約束を
翠月 歩夢
恋愛
子供の頃、離婚により別れてしまった茜と潤。
彼らは再会を誓ったけど会った時には溝ができてしまっていた。
話そうと決意した時、突然茜が死んでしまう。
もう一度会いたい。 そう思っていたら自称神様が願いを叶えるといって来たけど本当に叶えてくれるの……?
男と女の目線が1話ごとに入れ替わる話です。 ゲームっぽくリズムよく進むので暇つぶしにどうぞ。
進んでいくうちに謎が解けるような物語
全2万字程度。
順次公開していきます。
※小説家になろう、エブリスタにも掲載しています。(過去作です)
※修正、変更しました。

異種族ちゃんねる
kurobusi
ファンタジー
ありとあらゆる種族が混在する異世界 そんな世界にやっとのことで定められた法律
【異種族交流法】
この法に守られたり振り回されたりする異種族さん達が
少し変わった形で仲間と愚痴を言い合ったり駄弁ったり自慢話を押し付け合ったり
そんな場面を切り取った作品です

【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる