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第190話 恋人の過保護
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過保護かもしれないが、翠羽のためを思うと仕方がないんだ。
『ほんに、少しは気を抜いてもよかろうよ。主よ』
式神にまで呆れられるとは、僕は余程変な顔をしているのかもしれない。
「……そうは言うけどね、青龍」
青を主体とした色合いの男性体は、僕と自分の分に茶を淹れてくれていた。好青年に見えるが、式神なので実年齢はいくつかさっぱりだが。
最低、かの安倍晴明が使役しているとされているので……二千年以上は存在しているはず。よく、蘇芳とは言え僕なんかの式神として契約してくれたものだ。
『翠羽様とて弱き存在ではござらん。友との交流でものびのびとさせても良いではないか?』
「……何かあってからでは遅い」
『であるからこそ、太裳を供にさせた。それで充分では? わざわざ、水鏡で覗き見はよろしくない』
「……いいじゃないか」
相手が女子の同級生とて、獣人でも全てを対処出来るとは限らない。翠羽は弱くはなくとも、まだ病み上がりを抜けたばかりだ。何かに狙われることがないとも言い切れない時代なので、出来得ることはしたい。
だが、式神の彼から見ても……僕は過保護だそうだ。
けどたしかに……水鏡の向こう側にいる翠羽はとても笑顔だった。
『ほんに、少しは気を抜いてもよかろうよ。主よ』
式神にまで呆れられるとは、僕は余程変な顔をしているのかもしれない。
「……そうは言うけどね、青龍」
青を主体とした色合いの男性体は、僕と自分の分に茶を淹れてくれていた。好青年に見えるが、式神なので実年齢はいくつかさっぱりだが。
最低、かの安倍晴明が使役しているとされているので……二千年以上は存在しているはず。よく、蘇芳とは言え僕なんかの式神として契約してくれたものだ。
『翠羽様とて弱き存在ではござらん。友との交流でものびのびとさせても良いではないか?』
「……何かあってからでは遅い」
『であるからこそ、太裳を供にさせた。それで充分では? わざわざ、水鏡で覗き見はよろしくない』
「……いいじゃないか」
相手が女子の同級生とて、獣人でも全てを対処出来るとは限らない。翠羽は弱くはなくとも、まだ病み上がりを抜けたばかりだ。何かに狙われることがないとも言い切れない時代なので、出来得ることはしたい。
だが、式神の彼から見ても……僕は過保護だそうだ。
けどたしかに……水鏡の向こう側にいる翠羽はとても笑顔だった。
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