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第185話 温かな腕
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水が……いいえ、涙なのでしょう。
身体は少し痛みますが、手に感じる温かさに……これが現実だとすぐにわかりました。
私はベッドに寝ていて、国綱さんがしっかりと手を握ってくださっていたのです。
そして、まるで子供のように涙を溢れさせていらっしゃいました。
「……翠羽」
「……く、つな……さ」
なんとか名前を呼ぶと、国綱さんはさらに泣きながら私を抱きしめてくださいました。
びっくりしましたが、包まれたことで感じる温かさに……ほっと出来ました。私のあるべき場所はやはりここなのだと。
国綱さんは、何度も私の名前と『よかった』を繰り返されましたが……視線を感じたので、そちらを向けば乃亜さんに螺子さんがいらっしゃたのです!?
「……いやぁ、まあ」
「……えと、よかったですね」
乃亜さんは透明人間なので、顔は全くわかりませんが……螺子さんの照れ顔も相まって、おふたりから見ても照れてしまう光景なのでしょう。
しかし、国綱さんは……私から離れる気配はありませんでした。
国綱さんが落ち着かれたのは、それから最低三十分以上はかかりました……。
身体は少し痛みますが、手に感じる温かさに……これが現実だとすぐにわかりました。
私はベッドに寝ていて、国綱さんがしっかりと手を握ってくださっていたのです。
そして、まるで子供のように涙を溢れさせていらっしゃいました。
「……翠羽」
「……く、つな……さ」
なんとか名前を呼ぶと、国綱さんはさらに泣きながら私を抱きしめてくださいました。
びっくりしましたが、包まれたことで感じる温かさに……ほっと出来ました。私のあるべき場所はやはりここなのだと。
国綱さんは、何度も私の名前と『よかった』を繰り返されましたが……視線を感じたので、そちらを向けば乃亜さんに螺子さんがいらっしゃたのです!?
「……いやぁ、まあ」
「……えと、よかったですね」
乃亜さんは透明人間なので、顔は全くわかりませんが……螺子さんの照れ顔も相まって、おふたりから見ても照れてしまう光景なのでしょう。
しかし、国綱さんは……私から離れる気配はありませんでした。
国綱さんが落ち着かれたのは、それから最低三十分以上はかかりました……。
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